雲を操り豪雨を抑制せよ 富山湾上空でドライアイス散布実験が始動
豪雨抑制へ雲操る実験 富山湾でドライアイス散布開始

雲を操り豪雨被害を軽減 富山湾上空で画期的な実験が始動

人類は天候を制御できるのか――。この壮大な問いに挑む画期的な実験が、富山湾上空で始まった。千葉大学や富山大学などの研究グループが2026年1月、飛行機を使用して雪雲にドライアイスを散布する実地試験を開始したのである。人工的に雲を操作することで豪雨被害を減らすことを目指すこのプロジェクトは、2050年までに社会に受け入れられる形での実現を目標としている。

ムーンショット型研究の一環として実施

このプロジェクトは、国の野心的な研究制度「ムーンショット型」開発目標の重要な一環である。2050年までに台風などによる豪雨を制御し、甚大な被害を軽減することが最終的な目標だ。内閣府によれば、プロジェクトが始動した2021年以降、国内で実地試験にまで進展した事例はこれが初めてとなる。

研究チームの説明では、国内における気象制御実験としては、高知県で実施された人工降雨実験以来、実に約15年ぶりの実施となる。まさに歴史的な一歩と言えるだろう。

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詳細な実験内容と科学的メカニズム

実験は2026年1月7日から13日の期間中、事前に公開されていた気象条件に適合した4日間にわたって実施された。高度3500メートルを飛行するプロペラ機から、直径約3ミリのドライアイス(二酸化炭素)の粒を約30キロにわたり、雪雲などに投下するという方法が取られた。

雲は、わずかな刺激で一気に凍結する性質を持つ「過冷却水」が集まって形成されている。ここにドライアイスなどの微細な粒を散布すると、氷の核が生成され、氷や水滴が成長して落下する。この手法は「シーディング(種まき)」と呼ばれる人工降雨技術の応用である。

富山県入善町の地上には、レーザーなどの精密な計測機器が設置され、上空の雲にドライアイスを散布した実験結果の詳細なデータ収集が行われた。2026年1月12日には、実際にドライアイス散布によって雲が出現する様子が確認されている。

予備実験としての位置づけと今後の展望

今回の実験はあくまで予備的な位置づけではあるが、気象制御という人類の長年の夢に現実味を与える重要な第一歩となった。研究グループは、この技術が確立されれば、集中豪雨や台風による洪水被害の軽減に大きく貢献できると期待を寄せている。

気象制御技術の実用化には、科学的な有効性の証明だけでなく、社会的な受容性や環境への影響評価など、乗り越えるべき課題も多い。しかし、地球温暖化に伴う気象災害の激甚化が懸念される現代において、天候を操作する技術の開発は、防災対策の新たな可能性を拓く重要な挑戦と言えるだろう。

今後も研究チームはデータ分析を進め、より効果的な散布方法や条件の特定に取り組む方針である。雲を操り豪雨を抑制する――。かつてはSFの領域だったこの技術が、現実の防災手段となる日が来るかもしれない。

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