宇宙経済94兆円で米中が圧倒、日本の勝ち筋は再使用ロケットと独自衛星サービスに
宇宙経済94兆円で米中が圧倒、日本の勝ち筋はどこか (28.02.2026)

宇宙経済が94兆円に拡大、打ち上げ回数は年316回に急増

米国の非営利団体「スペースファウンデーション」が発表した最新の報告書によると、世界の宇宙経済は2024年に過去最高の6130億ドル、日本円で約94兆円に達したことが明らかになりました。この成長ペースが続けば、早ければ2032年には1兆ドル、約150兆円を超える可能性があると予測されています。

ロケット打ち上げ回数が急増、米中両国で9割を占める

宇宙経済の拡大を裏付けるように、ロケットの打ち上げ回数が著しく加速しています。内閣府のデータによれば、衛星の軌道投入に成功した打ち上げ回数は、2021年の136回から2025年には316回にまで増加しました。

特に注目すべきは、この打ち上げ回数の9割近くを米国と中国が占めていることです。具体的には、米国が192回、中国が91回を記録し、両国合わせて283回にのぼります。この圧倒的なシェアは、宇宙開発における米中の主導権争いが激化していることを示しています。

スペースXの独走と再使用ロケットの革新

米国の中でも、実業家イーロン・マスク氏が率いるスペースXの存在感が際立っています。同社の打ち上げ回数は、2021年の31回から2025年には165回へと急増し、宇宙インターネットサービス「スターリンク」の衛星を年間2,000基以上も軌道に投入しています。

この驚異的な打ち上げ能力を可能にしたのが、再使用ロケット「ファルコン9」です。第1段ブースターを逆噴射によって垂直着陸させ、複数回再利用することで打ち上げ費用を大幅に削減することに成功しました。この技術革新により、自社衛星を次々に打ち上げて運用し、サービスとして販売する好循環を生み出しています。

日本の現状:打ち上げ回数が低迷、基幹ロケットも停止

一方、日本国内でのロケット打ち上げ回数は、2025年が3回、2024年が5回、2023年が2回、2022年は0回にとどまっており、国際的な競争から大きく遅れをとっている状況です。

背景には、政府の大型・小型ロケット開発における課題が存在します。基幹ロケットの開発や運用が停滞する中、民間企業による新たな取り組みも始まっていますが、まだ発展途上の段階にあります。

識者が指摘する日本の「勝ち筋」とは

宇宙産業の専門家によれば、日本が国際競争で勝ち残るためには、以下のような戦略が重要だと指摘されています。

  • 再使用ロケット技術の早期実用化:スペースXのような低コスト打ち上げシステムの開発が急務
  • 独自の衛星サービス分野の開拓:地球観測や通信など、特定のニッチ市場での優位性確立
  • 官民連携の強化:政府と民間企業が協力して技術開発と商業化を加速
  • 国際協力の推進:米中以外の国々とのパートナーシップ構築

日本の宇宙産業は、高い技術力を背景に、再使用ロケットの開発や独自の衛星サービス事業で新たな活路を見いだす可能性があります。今後の官民の取り組みが、宇宙経済における日本の存在感を左右することになるでしょう。