愛知県が三河湾の水質基準を緩和 アサリ漁獲量回復へ全国初の試み
愛知県は、漁獲量が減少している三河湾のアサリ資源を回復させるため、海洋の水質環境基準を緩和することを決定しました。これは、国が昨年2月に制度を変更し、都道府県が地域の実情に応じて海洋環境基準を見直せるようになって以降、全国で初めての試みとなります。
水質改善が逆効果に 餌不足がアサリ減少の一因
三河湾は全国有数のアサリ産地として知られ、2023年まで20年連続で漁獲量全国1位を誇っていました。しかし、その間も漁獲量は年々減少を続け、2024年には過去最低の1100トンにまで落ち込みました。これは最盛期のわずか1割程度の水準であり、漁獲量ランキングでも北海道に抜かれて2位に転落しています。
漁業関係者からは、アサリ減少の理由として「海水がきれいになりすぎて餌が少なくなったことも要因の一つ」との指摘が上がっていました。水質改善が進んだ結果、アサリの餌となるプランクトンの栄養源である窒素やリンなどの栄養塩類が不足し、生育に影響を与えているという見解です。
栄養塩類の基準値を約2倍に緩和
愛知県は3月10日の県環境審議会の答申を受け、同月27日に告示を出しました。これにより、三河湾における栄養塩類の環境基準値が約2倍に緩和されることになります。漁業関係者が求めてきた措置が具体化した形です。
また、県は2027年度を目処に次期水質総量削減計画を策定する方針です。矢作川や豊川などの河川に設置されている浄化センターから、水とともに放出される窒素やリンの量を決定することになります。
潮干狩り中止の影響と今後の展望
資源保護の観点から、今年は吉田海岸(愛知県西尾市)での潮干狩りが中止されるなど、地域にも影響が及んでいます。今回の水質基準緩和は、こうした状況を打開するための重要な一手として位置づけられています。
愛知県の担当者は「環境保全と漁業振興の両立を図りながら、持続可能な水産資源の管理に取り組んでいきたい」と話しています。今後の水質変化とアサリの生育状況には、関係者の注目が集まっています。



