ASEAN有識者調査 トランプ氏のリーダーシップが最大の懸念に浮上
シンガポールのシンクタンク、ISEASユソフ・イシャク研究所が7日に発表した調査結果によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)の政府当局者や学者ら有識者の間で、自国の地政学的な懸念として「トランプ大統領による米国のリーダーシップ」と答えた割合が51.9%に達し、最大となったことが明らかになった。
米中同盟選択で中国が逆転 地域の不安が顕在化
さらに注目すべきは、米中二大国の対立が深まる中、ASEANがいずれかとの同盟を余儀なくされた場合を想定した質問に対して、中国を選ぶと答えた割合が52%となり、昨年比4.3ポイント増加した点だ。一方、米国を選ぶ割合は48%で、同4.3ポイント減少し、昨年から逆転した形となった。
研究所はこの結果について、トランプ政権の「政策の一貫性のなさや長期的な関与への信頼性」に対する地域の不安が露呈したと分析している。具体的には、同政権の関税政策や中東情勢を巡る対応が、米国への懸念を増大させた要因として指摘されている。
米国への懸念が地域課題を上回る シンガポールで特に顕著
今回の調査では、米国への懸念が、昨年の調査で割合がより大きかった南シナ海情勢などの地域が抱える懸案を、今年は上回ったことも特徴的だ。回答者の国別では、貿易依存度の高いシンガポールが76.8%と最も大きな懸念を示しており、経済的結びつきの強さが影響している可能性が窺える。
この調査結果は、東南アジア地域において、米国の政治的安定性や外交方針に対する信頼が揺らいでいる実態を浮き彫りにした。同時に、中国との関係強化を選択肢として真剣に検討する動きが強まっていることを示唆しており、今後の地政学的バランスに大きな影響を与えそうだ。
ASEAN諸国は、大国間の駆け引きの中で自らの立場を模索し続けており、今回の調査がその複雑な思惑を反映する貴重なデータとなった。国際社会は、この地域の動向に注視を強める必要があるだろう。



