介護の人手不足深刻「賃上げだけでは人材確保難しい」長期的投資を
介護の人手不足「賃上げだけでは人材確保難しい」

政府は1日、介護職員の給与原資となる介護報酬を臨時に改定し、月額最大1万9千円の引き上げを決定した。深刻な人手不足に対応するため、来年の定期改定を待たずに実施された。しかし、他産業との賃金格差は依然として大きく、現場からはさらなる底上げを求める声が上がっている。

介護現場の実態と賃上げの効果

名古屋市内の訪問介護事業所で働く44歳の介護福祉士の女性は、報酬改定について「物価上昇の中、消費者として賃上げはありがたい」と歓迎する一方、「賃金を上げたところで、人は来るのだろうか」と疑問を呈する。同事業所は人材確保に苦慮し、特に若手を集められず、60代以上のスタッフが中心となって1日6~7軒を巡回。訪問時間を切り詰め、新規依頼を断る状況が続いている。

厚生労働省によると、介護職の月給は31万4千円で、全産業平均39万6千円との差は8万2千円。有効求人倍率は3.97倍と全産業平均を大きく上回り、人手不足が顕著だ。今回の改定では、賃上げ分1万円に加え、生産性向上に取り組む事業所の介護職員には月7千円の上乗せもあるが、全産業平均を下回る状況は変わらない。

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長期的人材育成の必要性

女性の事業所では非正規スタッフが大半を占め、正規職員はわずか。「国は生産性向上を求めるが、それを達成できる人材を育てる余力がない。育てる人も育っていない」と吐露し、「臨時的な賃上げで終わらず、人材育成のための長期的投資をしてほしい」と訴える。

5月31日には、医療介護従事者を対象とした全国一斉労働相談ホットラインが実施され、慢性的な人手不足による厳しい状況への相談が寄せられた。愛知県医療介護福祉労働組合連合会の池田幹人書記次長(37)は「他産業との賃金格差をカバーするには至っていない。ケア労働は公共性が強く、労働環境を改善しなければサービス悪化が利用者に跳ね返る悪循環を生む」と懸念する。

淑徳大の結城康博教授(社会保障論)は「事務職などに加算対象を広げたことは評価できる」としながらも、「他産業も賃上げしており、介護は出遅れている。今回の改定では8万2千円の差は埋まらず、効果は薄いのでは」と指摘した。

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