阪神が初のリーグ連覇、独立リーグ出身の工藤投手らが活躍
阪神が初のリーグ連覇、独立リーグ出身の工藤投手らが活躍

阪神タイガースがセントラル・リーグで初の連覇を達成した。今季は独立リーグ・四国アイランドリーグplus(四国IL)を経験した投手たちの活躍が際立った。抑えに定着した工藤泰成投手(24)を中心に、石井大智投手(29)、ラファエル・ドリス投手(38)のリリーフ陣が優勝に大きく貢献した。

工藤投手の急成長

3日夜の試合で読売巨人軍が敗れ、阪神の優勝が決まった。最後までもつれたレギュラーシーズンでチームを支えたのは、今季急成長した「独立の星」、工藤投手だった。

秋田・明桜高から東京国際大に進んだが、ドラフト会議で指名されず、2024年に四国ILの徳島インディゴソックスへ加入。25年、一軍戦に出場できない育成選手として阪神に入団すると、剛速球が藤川球児監督(46)の目に留まり、シーズン前に支配下選手に登録された。

しかし、開幕早々、一軍の試合で暴投を連発し、敗戦投手に。それでも、藤川監督は「どんな選手も失敗を重ねて強くなっていく」と登板機会を与えた。ただ、1年目は18試合の登板で、勝ち星もセーブも挙げられなかった。

今季の活躍と独立リーグの経験

四国IL時代から筋力トレーニングで体を鍛えてきた工藤投手は今季、12球団屈指の剛腕投手として才能を開花させた。7月には163キロをマーク。夏場からは抑えを任され、8月下旬には巨人との首位攻防3連戦全てでセーブを挙げた。ここまでチームトップの55試合に登板し、11セーブ、防御率0点台。「成長できた」と振り返る。

四国ILでは月給10万円台の選手も多く、アルバイトを掛け持ちする選手も珍しくない。そんな環境で育った工藤投手は「ハングリーさは今に生きていると思う。努力するレベルが上がった」。今季は変化球に磨きをかけるなど、貪欲に技術向上に取り組んだ。

徳島の南啓介球団社長(43)は「可能性を感じていたが、想像以上の成長」と目を細め、ともにプレーした山崎正義投手(23)は「一緒にやっていた選手がこんなに活躍するのは刺激的で目標にもなる」と語った。

石井、ドリス両投手も存在感

高知ファイティングドッグスでプレーしていた石井、ドリス両投手も存在感を示した。昨季、50試合連続無失点の日本記録を作った石井投手は今春のキャンプで左アキレス腱を断裂したが、9月に復帰。シーズン終盤に救援陣に厚みをもたらした。ドリス投手は昨年7月、16年から4年間プレーした阪神に再加入。チーム最年長としてフル回転した。高知の武政重和球団社長(52)は「工藤君を含め、四国ILの現役選手の励みになる」と喜んだ。

15年に高知でプレーした藤川監督は独立リーグ出身選手について「色々な人生経験を経たハングリーさを見たい」と話したことがある。工藤投手は優勝が決まった後、「独立の選手に可能性に蓋をしないでと伝えたい。いつか努力は報われる」と語った。

ファンや関係者から祝福の声

阪神の連覇を受け、ファンは各地で大歓声を上げ、選手を知る関係者からはねぎらいの言葉が相次いだ。阪神ファンらが集まった兵庫県尼崎市のスポーツバー「尼スポジョニー」では、3日午後9時半頃、巨人が敗れて優勝が決まると、拍手と歓声に包まれた。約50年前からファンという同市の男性(70)は「(低迷した1990年代の)『暗黒時代』を知っているだけに、連覇は本当にうれしい」と喜んだ。

大阪・ミナミの戎橋付近には夜にかけて連覇を期待するユニホーム姿のファンが集まった。奈良市から訪れた女性会社員(26)は「ずっと応援してきたが、今日が一番幸せです」と笑顔を見せた。

優勝に貢献した選手らのゆかりの人も祝福した。近本光司選手(31)は4月に負傷したが、7月に復帰した後は好調を維持する。地元・兵庫県淡路市で通っている美容室「onetto(オネット)」の店主、岡本崇矢さん(42)は「けがはあったものの、無事に復帰し、プレーできてよかった」とねぎらった。近本選手は2017年に知人の紹介で来店して以来のなじみ客。ドラフト指名の前日や結婚式などの節目に訪れており、岡本さんはクライマックスシリーズに向け、「存分に楽しんで、黄金期を築いてほしい」とエールを送った。

圧倒的な打力でチームを先導し、3日も本塁打を放った佐藤輝明選手(27)を大学時代に指導した近畿大硬式野球部元監督の田中秀昌さん(69)は「本人の努力で成長し続けた。三冠王を目指し最終戦まで力を発揮してほしい」と期待した。

チームを率いる藤川球児監督が高知市立城北中学校時代、指導にあたった上田修身さん(64)(前高知商業高監督)は「教え子が球団初の快挙を成し遂げられて誇らしい」と語った。24年に阪神の監督就任が決まり、高知県安芸市で行われた秋季キャンプで会った際は「選手がたるんでいる時はどう指導すればいいのか」と相談を受けたという。3日は自宅で巨人戦を観戦したといい、「阪神が勝って藤川監督の胴上げを見たかったが、結果が全てなのでよかった。『連覇おめでとう』とメッセージを送りたい」と話した。