和歌山信愛中学校・高等学校(和歌山市)には、他校ではあまり見られない多種多様なクラブ・同好会が存在する。背景には、一人一人の個性を大切にするカトリックの教えと、多方面に興味を持つ女子生徒の特性があり、所属生徒の3、4割が兼部している。近年活躍が目覚ましい軽音楽部と、一昨年発足したアクアリウム同好会を紹介する。
多彩なクラブ・同好会が31活動
同校では現在、31のクラブ・同好会が活動している。ソフトテニス、バレーボール、演劇(高校のみ)などは中高別々の活動だが、それ以外は中高合同で行われ、チームワークや上下関係を学んでいる。
カンボジアの子供たちのための福祉活動に取り組む「グローバルアクティビティ・クラブ」、自主的に学校PRに励む「信愛アンバサダーズ」などユニークな活動に加え、女子校としては珍しいボクシング同好会、麻雀同好会、将棋同好会もある。一昨年はアクアリウム同好会が発足した。
木村宣史教頭は「本校の教育の根本には『個性を大事にする』というカトリックの教えがあり、主体的に『やりたい』と手を挙げる生徒がいれば、学校は最大限、それがかなうように応援します」と語る。兼部しやすい体制も背景にあり、「活動は週1回程度という部が多いことが兼部を可能にしています」と説明する。
クラブ・同好会に参加する生徒は全体の6、7割で、うち3、4割が兼部。かつては五つの部を掛け持ちしながら和歌山県立医科大学に進学した生徒もいたという。
軽音楽部:関西大会で奨励賞受賞
軽音楽部は3月28日に京都府宇治市で開催された「第11回高等学校軽音楽コンテスト関西大会」で、出場した二つのバンドのうち「トキノハナ」がOmoinotakeの「幾億光年」をカバーし、出場22団体の中で奨励賞を受賞。ボーカルとキーボードの2部門でメンバーが「ベスト・プレイヤー賞」に輝いた。もう一つのバンド「17℃」もオリジナル曲「共鳴」を披露し、好評を得た。
現在、軽音楽部は中学生27人、高校生36人の計63人が所属。バンドは12、13組が活動し、校内には防音スタジオが三つあり、ドラムセットやギター、キーボード、音響機材が完備されている。練習時間は決まっておらず、バンドごとにスタジオを予約して自主的に取り組む。
校内では春秋のオープンスクール「信愛フェスタ」で演奏披露するほか、ライブを年5回開催。校外では「高等学校軽音フェス」や和歌山県主催の大会などに約2か月に1回出演している。
顧問の寺中恵理教諭は基本的に生徒の自主性に任せているが、「大会に出るからには勝ちたい」と相談されれば、選曲やパフォーマンス力についてアドバイスする。「トキノハナ」のボーカル北原侑芽さん(高3)には、あえて高音が求められる「幾億光年」を提案し、表現力向上のためアーティストの動画研究を勧めたという。北原さんは「大会当日は他の出場バンドに圧倒されましたが、かえって力が抜けて自然に歌えました」と振り返る。
アクアリウム同好会:課題解決力を育む
アクアリウム同好会は、部長の長谷川莉実さん(高2)が中3だった24年2月、現顧問の草竹裕太教諭の「クラブ活動をつくらないか」という呼びかけに応じて発足。高校に上がって4月、クラスメートも加わり8人でスタートした。
長谷川さんは南米産の小型ナマズ「コリドラス」を飼いたいという動機だったが、草竹教諭は苔テラリウム作りから始めさせ、部員たちは1学期中に魚の相性や水質管理法などを調査。2学期にコリドラスの飼育を開始したが、水の汚れや魚の死亡などの失敗を経験し、フィルター設置や酸素量調整などの解決策を模索して今年に入って安定した。
現在は部員が中高合わせて22人となり、淡水、海水、ウーパールーパーの3班に分かれて水槽を管理。「信愛フェスタ」では自作の動画上映やミニテラリウム作り体験を開催している。草竹教諭は「失敗したら原因を調べて解決策を施すことを繰り返すことで、問題解決力が付く」と期待を語る。
木村教頭は「付かず離れず、でも常に見ている。その中で、生徒たちには安心して好きなこと、やりたいことに挑戦してほしい」と述べている。



