高次脳機能障害を学ぶカードゲーム「支援のカタチ」浜松のNPOが開発
高次脳機能障害学ぶカードゲーム 浜松のNPOが開発

事故や病気で脳が損傷し、記憶障害などが起こる「高次脳機能障害」への理解を深めてもらおうと、浜松市のNPO法人が学習用のカードゲームを開発した。同障害は外見から分かりにくく「見えない障害」と言われており、周囲の理解が進まず、本人はもちろん家族や支援者らも孤独や不安に陥りやすい。

「人物」と「場面」のカードで支援方法を学ぶ

カードゲーム「支援のカタチ」を開発したのは、高次脳機能障害者向けの支援施設「ワークセンター大きな木」(浜松市中央区)を運営するNPO法人「えんしゅう生活支援net」。同施設が、自動車事故による障害者の社会復帰を促進する国土交通省のモデル事業所に選ばれたのを機に、「楽しみながら障害の特性を学べないか」と企画し、今年5月に完成させた。

ゲームは2~5人で行う。まず年齢や家族構成、障害の特徴などが詳しく書かれた「人物カード」を1枚選び、生活面の困難さなどについて全員で意見交換する。次に、仕事などの場面で日常起こりうる困りごとが書かれた「場面カード」1枚を場に出す。

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そこで、各プレーヤーは手持ちの「対応カード」5枚の中から1枚を示して支援方法を説明する。例えば、場面カードが「注意を受けると言い訳したり逆ギレしたりする」、対応カードが「尊重」であれば、「頭ごなしに注意せず、本人の意見を『尊重』してやんわりと諭す」など説明するという具合だ。最適な方法を示したプレーヤーにチップを渡し合い、最終的にその数で勝敗が決まる。

「こじつけ」に意味 研修で活用期待

人物カードや場面カードは、日頃の支援活動の経験を参考に考案した。イラストは、高次脳機能障害に関する著作が多いイラストレーター、柴本礼さんに依頼した。

家族をはじめ支援する側は、周囲の理解が得られず孤独を感じたり、対処方法が分からず不安になったりしやすい。だから、ゲーム中の「話し合い」と「こじつけ」に意味があるという。実際、障害者支援の担当者向け研修会で試行したところ、参加者からは「自分にはない見立てや助言がたくさん聞けた」「一見関係なさそうなカードでも、こじつけて発言することで新しい視点が見つかった」などの感想が寄せられた。

「支援のカタチ」は計200セットを作成。高次脳機能障害の支援拠点となっている全国約100か所の福祉施設や医療機関などに郵送し、研修会などで活用してもらうほか、各施設からの依頼に応じて無料で貸し出す。

開発の中心を担った同法人の公認心理師、山尾久美子さん(51)と作業療法士、天野夏千さん(36)は「高次脳機能障害の実態はまだ十分に知られていない。ゲームを通じて、障害の特性やその支援方法に対する理解が深まればうれしい」と期待する。

貸し出し時の送料は無料だが、返送時の送料は自己負担となる。問い合わせは同法人(053・420・6250)へ。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害は、記憶障害や注意障害、他人に迷惑な行為をする社会的行動障害、失語症などの症状として表れる。国内の障害者は推計約23万人とされる。日常生活で困難を抱えるだけでなく、職場に居づらくなって退職せざるを得ないケースもある。

今年4月に施行された支援法では、都道府県が治療やリハビリを行う医療機関の確保に努めるよう求めているほか、相談体制の強化や就労支援体制の整備などが盛り込まれている。

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