「エイジズム(年齢差別)」という言葉を聞く機会が増えている。元陸上選手の為末大氏は、年齢とどう向き合うべきかについて、若さの可能性と年齢を重ねたからこその強みの両方を挙げ、加齢はマイナスばかりではないと説く。
若さには大きな可能性
為末氏は、スタートアップ企業の支援をしていた経験から、創業者が20代だと計画が少し甘くても「これから成長するだろう」と投資を受けやすい傾向があったと指摘。若いというだけで周囲が許容してくれる雰囲気があり、その貴重な時間に失敗を恐れず挑戦すべきだと語る。
年齢を重ねた強みと精神的な変化
スポーツでは、若手は身体能力を武器にできる一方、ベテランは経験に基づく戦略で勝負できる。若い頃は好不調の波が激しかった選手が、経験を積んで修正できるようになり、パフォーマンスが安定するケースもあるという。
また、プロスポーツ選手はスポンサーやトレーナーなどとのつながりが重要で、競技の結果にも影響する。為末氏自身も長く現役を続けたことで人脈を構築できたと振り返る。
スポーツ選手でなくても30代後半から身体の衰えを感じる人は多く、外見も変化する。しかし、年齢を重ねると精神的に落ち着き、本来の興味に向き合えるなど幸福を感じやすくなる。為末氏も若い頃よりシンプルに物事を考えられるようになり、年を取ることのメリットを実感しているという。
為末氏は中高生に向け、加齢にはプラスの面もあることを知った上で、若い今しかできないことに全力で取り組んでほしいとメッセージを送る。
為末大氏は1978年広島市生まれ。陸上400メートルハードルで五輪に3大会連続出場し、2001年と2005年の世界選手権で銅メダルを獲得。2012年に引退後は競技の普及や執筆活動に取り組み、2026年4月に東京大学先端科学技術研究センターの教授に就任した。



