奈良県生駒市でフリースクールや地域食堂を運営する溝口雅代さん(47)が昨年、アメリカ西海岸の約4265キロを縦断する旅に挑み、4か月半かけて走破した。登山やランニングなどの経験はなかったが、毎日写真を撮り、電波の届くところでインスタグラムに発信した。
「世界は広いぞ」と子どもたちに伝えたい
溝口さんは、一般社団法人「和草(にこぐさ)」代表理事で、子どもの「自ら育つ力」を信じ、フリースクール「和草」や地域食堂「たわわ食堂」などを運営。「まーちゃん」の愛称で親しまれる。
アメリカの州立高校に留学していた経験があり、もう一度渡米し旅をするのが念願だった。一昨年、難コースで知られるトレッキングツアー「PCT(パシフィック・クレスト・トレイル)」のことを知り、すぐに申し込んだ。PCTはメキシコ国境からカナダ国境までの山脈や原野を歩き、世界各国からハイカーが集まる。子どもたちに、「まーちゃんができるなら」と、好奇心を持ってほしいという思いがあったという。
4か月半の旅とゴールの喜び
テントと食料を背負い、昨年5月12日に出発。砂漠地帯を経て、シエラネバダ山脈の雪山をひたすら歩いた。富士山級の山を何度も越えなければならなかった。海外の同行者がいることもあったが、ほとんどが一人。北カリフォルニアの火災で焼けた原野やオレゴン州の溶岩地帯を過ぎ、ワシントン州へ。「レーニア山の美しい山の連なりや、湖も森も滝もすばらしかった」と振り返る。
ゴールしたのは9月28日。約140日分の重みがある喜びが体を襲った。「ゴールがスタートという言葉が頭をよぎった。ここから先、何が待っているのだろう」
挑戦のもう一つの目的と子どもたちへのメッセージ
長距離の旅に出たのはもう一つ目的があった。自身が始めたフリースクールなどが、自分がいなくても成長するよう、長期間不在にすること。帰国してみると、スタッフを中心に伸びやかに運営されていた。
子どもたちもインスタを見てくれていた。母親らからは「勇気をもらった」と言われた。知人らが開いてくれた会合や法人の報告会で体験を話してきた。
生きづらさを感じている子どもたちに伝えたいことがあるという。出会ったさまざまな国の人に「日本人」と言ったとき、100%友好的な反応を示してくれたこと。「人がやさしい国」と笑顔で接してくれたことだ。
「みんなは、そんな素敵な国に住んでいるんだよ。だから自信を持って好奇心のスイッチを押そう」



