「どこから来た?」に愛知・岐阜県民が「名古屋」と答える理由とは?
愛知・岐阜県民が「名古屋」と答える理由とは?

旅行先などで「どこから来たの?」と尋ねられたとき、多くの人は県名で答えるが、愛知県民は「名古屋」と答えることが多い。その理由について、地域研究や地理学を専門とする名古屋学院大学現代社会学部教授の江口忍氏が解説した。

「名古屋」と答える愛知県民の事情

読売新聞が運営するユーザー投稿サイト「発言小町」に、名古屋市在住の「スイカ」さんから「どこから来たのか尋ねられて『名古屋』と答えたが、都道府県名を答えた方がよかったのか」という投稿が寄せられた。このトピには100件以上のレスが集まった。

「吉良吉田行き準急」さんは、「愛知県で生まれ育ちました。名古屋市ではありません。仙台の大学に進学しました。『どこから来たの?』と聞かれて『愛知県です』と答えたら、『それは大変ですね、随分遠くの四国から』と言われ、愛媛県と間違われたことに気付くのに、しばらく(時間が)かかりました」と自身の体験を語った。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

隣県の人も「名古屋」と名乗る

「つばき」さんは「みんな、住んでいるところからの分かりやすさで、言い方が変わっちゃうんだと思います。ということで、『名古屋』でOKです。むしろ『愛知です』と答えたら、『名古屋以外なんだな』くらいに思っちゃいますよ」とコメントした。

さらに、「がーこ」さんは「旅行先でツアーの人と、どこから参加したかを話していたら、『名古屋』と言った全員が名古屋市民ではありませんでした」と明かした。「るんるんちゃん」さんも「東海市でも春日井市でも愛知県の人は『名古屋から来ました』と答えます。車のトヨタならだれでも知っていますが、豊田市の人でも『名古屋から来ました』って言いますよ」とし、「岐阜っ子や三重っ子も『名古屋です』って言っています」と暴露した。

「名古屋」と答える理由

江口氏は、愛知県民が「名古屋」と答えるのは「名古屋市周辺の都市の多くは名古屋市のベッドタウンで、名古屋市に比べて規模が小さいため、聞き手に伝わらないと考えてしまうからです。また、『愛知県』と答えた場合、『愛知県のどこ?』と聞かれたら面倒だし、小さな都市だから名前を言うのが恥ずかしいといった気持ちもあるかもしれません」と説明する。

約11年前、名古屋テレビがバスツアーで長野県にやってきた愛知県民に「どこから来たんですか?」と尋ねたところ、全員が「名古屋」と回答したが、実際には一宮市や春日井市、日進市などから来ており、名古屋市の人は一人もいなかった。一方、神奈川県では「藤沢」「鎌倉」などの回答があり、横浜市出身ではないのに「横浜」と答えた人はいなかった。兵庫県でも「明石」「西宮」などと答え、神戸市出身ではないのに「神戸」と答えた人はいなかった。

江口氏は「藤沢市や鎌倉市では、市民が『横浜』と同格、あるいはそれ以上にブランド力があると思っているから。明石市や西宮市についても同じことが言えますが、『神戸』が『ニュー・トラディショナル』や『神戸エレガンス』などのファッションやウォーターフロント開発でその名を轟かせていた1970~90年代の頃であれば、周辺都市の人も『神戸』と言っていたかもしれません」と考察する。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

「名古屋」と言わない場合も

もっとも、愛知県民でもブランド力がある都市では「名古屋」と言わないことがある。江口氏は「例えば、徳川家康生誕の地として知られる岡崎市。中でも若い人たちは、岡崎を拠点とする人気YouTuberグループ『東海オンエア』の影響で、堂々と『岡崎』と名乗ります。犬山城や瀬戸物といったアイコンがある犬山市や瀬戸市も同様です。また、名古屋市から地理的に遠く、『名古屋』への従属感が薄い豊橋市、豊川市、蒲郡市などもそう言えるでしょう」と話す。

名古屋市生まれで岐阜市在住の江口氏自身は、「どこから来たのか」を尋ねられたら「岐阜」と答えるそうだ。「『岐阜』と言うと東京の人は、『飛騨高山』や『白川郷』をイメージするので、『そうじゃなくて、結構都会だよ』と説明します。それが面倒でもあり、楽しくもあります。岐阜市民は『名古屋』とは言わないと思いますが、名古屋市への通勤率が高く、『名古屋』への従属感が強い多治見市には、『名古屋』と答える人が結構いそうです」と話した。