目黒区、衛星画像で倒木危険の街路樹抽出へ 実証実験を今月開始
目黒区、衛星画像で倒木危険の街路樹抽出へ 実証実験

目黒区は今月から、衛星画像を活用し、倒木の危険性がある街路樹を抽出する実証実験を始める。過去のデータから樹勢の変化を確認し、住民が撮影した写真などと照合しながら対象を絞り込む。点検作業の効率化を図り、職員の負担軽減につなげるのが狙いだ。

住民参加型の実証実験

実証実験は、区内の測量大手「パスコ」など民間会社2社と共同で行う。実験ではまず、パスコがインターネット上に無料で公開されている過去10年分の衛星画像を取得。街路樹の樹勢の経年変化を分析・数値化し、変化が小さい、変化が見られる、要確認の可能性の3段階に色分けした地図を作成する。

その後、区が保有する樹木のデータと照合し、樹勢の低下が顕著なエリアを洗い出す。優先順位を決めた後、区職員が現地で樹皮の亀裂や枯死などの有無を確認するという流れだ。倒木の危険性が高い場合は、伐採や植え替えを行う。

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抽出作業では、危険度判定の精度を高めるため、地域住民らが撮影した樹木の写真も活用する。区は、デジタル地図の作成を手がける「ジオテクノロジーズ」(文京区)のアプリ「ジオクエ」を通じて、写真提供を呼びかける。アプリでは、募集されている場所の写真を投稿すれば、アマゾンギフト券などに交換できるポイントが得られるため、写真収集の呼び水にしたい考えだ。

区内で倒木被害が相次ぐ

今月中に衛星画像の分析を始め、10月から住民の協力を募るという。パスコの事業戦略本部シニアエンジニア、北川正己さん(59)は「目黒区との実験を一つのモデルケースにしたい」と意気込む。

実証実験に乗り出すのは、倒木や枝折れによる被害が相次いでいるためだ。区内では昨年8月、区立碑文谷公園でイチョウの木が折れ、自転車の住民が転倒して軽傷を負う事故が発生。今年4月にも区立駒場公園でコナラの木が倒れ、民家の屋根が損壊した。

都内の他の自治体でも倒木が相次いだことから、区は5月に緊急点検を開始。今月1日に公表された中間報告によると、調査を終えた区立公園や道路、学校などにある約6950本のうち、1割弱の約550本で枯死などの異常が見つかった。

点検の効率化とAI活用

区はこれまで、公園や道路を定期的に巡回してきたが、区情報政策課の鎌田将司課長(44)は「人員に限りがあり、点検作業の効率化が課題だった。住民の力を借りながら、倒木事故のリスクを減らしたい」と話す。来年3月までに効果を検証し、本格導入について検討するという。

樹木の点検を巡っては、AI(人工知能)の活用も進んでいる。都は4月に行った一斉点検で、AIを搭載したタブレット端末を試験的に導入した。樹皮などを撮影すると、「至急の専門家確認」「要専門家確認」など4段階の判定を行う仕組みで、樹木の状態確認の迅速化につながった。

一般社団法人「日本樹木医会」(文京区)の和田博幸理事は「各地で倒木が起きているのは、戦後の高度経済成長期に大量に植えられた樹木が老木化していることが一因だ」と指摘。「危険な樹木をいち早く見つけ出すためには、効率良く選別することが必要で、民間の技術も積極的に導入していくべきだ」と話した。

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