日米欧そろっての長期金利の上昇は、財政不安や物価高(インフレ)懸念などを警戒する市場からの注意報だ。家計、企業、そして政府の負担となる金利高の抑制に各国は必死だが、根本的な問題解決は容易ではない。
米国:広がる懸念に「奇策」
市場の危機感は限界まで高まりつつあった。8月17日、米30年物国債の利回りが一時5.311%まで上昇。2007年6月以来、19年ぶりの高水準を記録した。
超長期債の利回りは、国家財政の持続可能性に疑念が生じると上がりやすい。翌18日には連邦債務がまもなく40兆ドル(約6200兆円)の大台を突破すると報道された。
このままでは、財政懸念主導の米長期金利の上昇に歯止めがかからなくなりかねない。そんな懸念が急速に広がるなか、「奇策」で事態の打開に打って出たのがベッセント米財務長官だった。
国債買い戻しの上限額を倍以上に
19日午前。米財務省が公表した声明に驚きが広がった。バイバック――。償還まで10年以上の米国債について、同省の「買い戻し」の上限額を倍以上にすると発表したのだ。
この突然のアナウンスを受け、市場では様々な受け止めが広がっている。長期金利の上昇を抑え込むための措置とみられるが、根本的な財政問題の解決には至っておらず、効果は不透明だ。
日本と欧州にも波及
米国の動きは日本や欧州にも影響を及ぼしている。日米欧そろっての長期金利上昇は、各国の財政運営や金融政策に重い課題を突きつけている。家計や企業への負担増が懸念される中、各国政府は金利高の抑制に躍起だが、市場の信認を取り戻すには時間がかかりそうだ。



