台風25号の豪雨禍、経験に頼らず早期避難を=産経新聞主張
台風25号豪雨禍 経験頼らず早期避難を=産経主張

台風25号は記録的な大雨で関東に大きな被害をもたらした。千葉、神奈川両県で土砂崩れや冠水、河川氾濫などが相次ぎ、死者・行方不明者は計10人を超えた。千葉県は8月の豪雨に続く深刻な被害となった。

土砂災害から命を守るには事前の避難が鉄則

土砂崩れが原因で亡くなった人が多い。土砂崩れは一瞬で家屋を破壊するため、発生すれば逃げられない。命を守るには事前の避難が鉄則だ。崖の近くなど危険な場所に住んでいる人は、レベル4の土砂災害危険警報が発表されたら直ちに避難する必要がある。レベル3の警報の段階でも、夜にかけて大雨が予想される場合などは早めに避難したい。

土砂崩れは家屋の1階が被災することが多い。今回も2階建て住宅の1階にいて土砂に巻き込まれた人がいる。やむを得ず在宅避難をする場合は、崖からなるべく離れた部屋や2階以上の安全な場所に移動することが不可欠だ。

全国の警戒区域は約72万カ所、リスク把握を

山が多い日本では平均で年間約1500件の土砂災害が発生しており、発生の恐れがある警戒区域は全国に約72万カ所もある。自治体のハザードマップなどを利用し、自宅や周辺地域のリスクを把握してほしい。

千葉県では雨が下水道の排出能力を超えて地表にあふれる内水氾濫も8月に続いて発生し、多くの車が水没した。冠水した道路の走行は極めて危険で、冠水の情報を迅速に伝える仕組みを普及させる必要がある。

印旛沼の堤防決壊、ハード対策には限界

千葉県の印旛沼では堤防が決壊し、周辺で大規模な浸水が続いている。決壊は水資源機構が昭和43年に管理を始めてから初めてという。

地球温暖化を背景に前例のない豪雨が近年頻発し、各地で水害が激甚化している。これまでは大丈夫だったと油断すると命取りになりかねない。経験則は通用しないと肝に銘じたい。

水害対策では河川の整備や地下に雨水をためる施設などが有効だが、多くの費用と長い工事期間が必要で、水害の激甚化に追い付けないのが実情だ。ハードだけに頼らないソフトの対策強化が求められる。

ハザードマップの整備と日頃の備えが重要

ハザードマップは河川の洪水については普及しているが、内水氾濫については作成が遅れている。自治体は取り組みを急いでもらいたい。想定外の場所で浸水が起きる場合もあり、日頃からの備えが大切だ。