奈良県黒滝村特産の吉野杉の魅力を生かしたクラフトジン「TARUMARU GIN 吉野杉樽丸フィニッシュ」(500ミリ・リットル)が開発され、村内の道の駅などで販売されている。村商工会などが3年かけて開発した力作で、村の97%を占める森の息吹を余すところなく閉じ込めた。
村の特産品として開発、香りの蒸留酒
ジンは、ジュニパーベリーと呼ばれるヒノキ科の針葉樹「セイヨウネズ」の球果を主としたボタニカルで香り付けをした蒸留酒を指し、「香りの蒸留酒」と称され、若者世代の人気が高い。
村商工会は吉野杉の香りで表現した村の特産品を作ろうと、そのジンに着目。2023年に「黒滝SOMA(そま)プロジェクト」と名付けてスタートした。「SOMA(杣)」は、木を利用するために手入れしている森林や山、そこで働く人々を表す。
レシピと製造技術、試行錯誤の末に完成
ジンのレシピは、クラフトジンの第一人者で、飲食店やイベントを手掛ける三浦武明さんから助言を受け、試行錯誤を繰り返して考案。吉野杉の枝や葉、かんなくずに、ジュニパーベリーと、セリ科のアンジェリカルートを使ったジンにたどり着いた。
さらに、その製作技術が国の無形民俗文化財として指定されている吉野地方の「樽丸」を活用。職人がのこぎりを使わず年輪に沿って包丁で割り出して作る樽丸は、江戸時代の酒造りを支え、木の自重と膨張だけで液体を閉じ込める。樽丸で熟成し、香りが溶け込んだジンを「互いに邪魔をせず引き立て合う」ブレンドで、完成形に到達した。
販売状況と価格、今後の展望
アルコール度数は「香りが一番引き立つ」という47度にした。開発に関わった村商工会経営支援員の久保善裕さん(55)は「目を閉じながらロックで飲むと『これが黒滝村だ』と感じる。皆さんに味わってもらいたい」と感慨深げ。まずはオン・ザ・ロックで氷を解かしながら堪能し、炭酸割りして食中酒として味わうこともお薦めだ。
酒の特産品作りは初の試みで、県の補助金を活用した。植田忠三郎村長は「数百年の杉の木立に囲まれているような気持ちになる」としみじみと語った。4月に発売し、すでに約200本を売り上げた。道の駅「吉野路黒滝」と、森の交流館で販売中。販路拡大のため、商談会や展示会にも出品し、知名度を上げていきたいと意欲を見せる。
税込み8800円(特製の杉の箱入りは同1万1500円)。問い合わせは、黒滝SOMAプロジェクト(070・3822・5233、平日午前10時~午後5時)。