富士山噴火で首都圏に火山灰か 「災害のラスボス」に人類は備えられるか
富士山噴火で首都圏に火山灰か 災害のラスボスに備えられるか

火山のスケールは、人間の物差しとは時間的にも空間的にも桁違いだ。小規模な噴火であっても、そこに住む人や観光客がいれば多くの犠牲者が出る。大規模な噴火なら、国家存亡の機にもなりかねない。発生頻度は低く、しかし、ひとたび起きれば甚大な被害をもたらす「災害のラスボス」に、人類は備えることができるのだろうか。

富士山が噴火したら火山灰は首都圏に

富士山は気象庁が24時間体制で監視する活火山のひとつだ。上空から見た火口は、富士山が活火山であることを強く印象づける。山肌が赤く見えるのは、溶岩が固まった岩石「スコリア」に含まれる鉄分が高温で酸化したためで、かつての激しい噴火をうかがわせる。

直近の噴火である、1707年の宝永噴火の火口が南東斜面に残っている。噴火の規模の目安となる「火山爆発指数(VEI)」は5。同様の噴火が再び起きれば、火山灰は成層圏まで噴き上がり、強い西風に乗って首都圏に降り注ぐことになる。住宅や各種インフラへの打撃で、生活や経済に甚大な影響を与えかねない。

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「いつ噴火してもおかしくない」

山梨県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長(79)は、将来の噴火の可能性について「地下ではマグマの動きが激しく地震活動が起きている。過去には平均30年に1回噴火してきたのに、300年間も休んでおり異常な状態。いつ噴火してもおかしくない」と語った。

現代に生きる我々が未経験の規模の火山噴火は、過去に幾たびも繰り返されてきた。富士山に近い景勝地の箱根山も活火山だ。約6万5000年前の噴火(VEI6)では大量の軽石が降り注ぎ、火砕流も発生した。今の神奈川県や東京都のほぼ全域、埼玉県南部や千葉県北部、静岡県東部を覆った。噴出した「東京軽石層」は東京で20センチ、横浜で40センチの厚さで、猛威の痕跡をとどめる。

巨大噴火は「火山の冬」も招く

九州の阿蘇、北海道の屈斜路など雄大な自然景観が楽しめるカルデラは、地下から大量のマグマが噴出してできた、大きなくぼ地だ。カルデラが形成されるほどの巨大噴火は、日本では1万年に1回ほど起きている。直近は約7300年前、薩摩半島沖の海底にある鬼界カルデラの噴火(VEI7)。火砕流は海面を走って陸地まで達し、噴き上がった火山灰は日本列島を覆って、南九州の縄文文化が壊滅したとされる。

火山の大規模な噴火は、太陽光を遮り地球を寒冷化させて「火山の冬」を引き起こし、飢饉も招いてきた。巨大噴火のエネルギーは桁外れで、大型台風の10倍、マグニチュード9の地震の1000倍にもなる。人類の将来を揺るがす噴火の再来が畏れられる。

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