英語が苦手だった大西泰斗さん、単語の「手触り」でたどり着いた教え方
英語苦手だった大西泰斗さん、単語の「手触り」でたどり着いた教え方

大学入学後、もともと苦手だった英語の教師になることを決意した大西泰斗さん。英語を母語とする人々の言語感覚を日本人にもわかりやすく伝える方法を考え続けてきた。

教育実習から大学院へ、八丈島への後ろめたさ

「大学4年の時に高校の教育実習で教員の仕事が気に入り、東京都の教員採用試験に合格しました。赴任先も希望した八丈島の高校に決まっていました。ところが、大学のゼミの指導教員に大学院への進学を勧められました。それならばと受けてみたら、合格しちゃったんです」

悩んだ末に大学院を選びました。高校に辞退の電話をすると、当然怒られましたが、了承してくれました。でも、八丈島には不義理をしたという後ろめたさがずっとありました。昨年春、ふと思い立ち、八丈島を訪ねました。「謝らなきゃ」という気持ちが引っかかっていたので。ようやく心のしこりが取れたかなあ。

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NHK番組で「イメージ」の解説法にひらめく

大学院では、英語という言語の仕組みをより深く解明する研究に取り組みました。その後、短大の講師になり、初めは言語学を教えていたのですが、だんだんと英語の指導が多くなりましたね。20年ほど前、NHKの英会話番組から誘いがかかり、教育者として大きなチャンスをつかんだ。ただ、「見えない視聴者」を相手に、教え方には腐心したという。

「英文法に関する本を書いたことをきっかけに、NHKの英会話番組の講師の仕事を紹介されました。でも、テレビもラジオも、どういった語学レベルの人が視聴しているかわかりません。そこで僕に求められるのは、視聴者が『なるほど』と納得する解説です。どこまでのレベルを基礎と捉え、どこから説明するか。自分が理解していることをそのまま話しても、きっと伝わらないでしょう。わかりやすい説明の仕方を突き詰めていくなかで、ひらめいたのが“イメージ”という概念でした」

例えば、日本語に訳すと同じ意味の英単語ってありますよね。それらを場面に応じて使い分けられないと、英語を理解しているとは言えません。それぞれの英単語が持つ“質感”や“手触り”みたいなものをイメージしてもらえば、ネイティブスピーカーの感覚をつかめると考えました。これは英語を教える上で最も腐心することで、おもしろさでもあります。

英語に触れる時間を増やす大切さ、人とのつながり

僕自身、いまだに英語が得意になったとは思いませんが、日々の積み重ねで板についてきたとは感じるようになりました。英語に苦手意識がある中高生もいるでしょう。大切なのは、英語に触れる時間を増やすこと。嫌いなのに増やせるわけないって? だからこそ、楽しくないとダメですよね。「楽しさ」は、僕も番組作りや本を書く時に最も大事にしていて、いつも苦しめられている点です(笑)

人生の転機を迎えるたびに、自分に正直な決断をしてきた大西さん。ぜひ中高生に伝えておきたいことがあるという。

「振り返ると、つくづく僕は人とのつながりに助けられてきたなと思います。英語の先生って世の中にたくさんいますよね? 僕もその一人ですが、人とのつながりのおかげで、テレビやラジオの仕事に長く携わることができました。自分の能力を磨くことと同じくらい、周りから好かれることって大切です。それは決して人におもねることではなくて、自分が自分らしくあれば、自然と人は寄ってくるものです」

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人から好かれるコツとして、僕が実践していることを一つお教えします。朝会った時、「ずっと会いたかったこの人にやっと会えた」という気持ちで元気よくあいさつしてみてください。すると、自分の表情が変わってくるはずです。中高生の皆さんには、人付き合いのコツをたくさん見つけて、豊かな人生を送ってほしいですね。(おわり。次はタレントの井手上漠さんです)