北九州市の金属加工業「樫本商店」が独自ブランドで販売する「たき火台」が、シンプルな構造と黒色の武骨な見た目で人気を集めている。アジアのデザイン賞を受賞し、海外から注文が寄せられるなど、販路拡大につなげている。
鉄の街で生まれた自社製品
「鉄の街」として知られる北九州市で1949年に創業した樫本商店は、従業員30人で、工場内にレーザー切断機などを配置し、産業機械や建築、造船業など取引先の注文に応じて金属を加工する事業を長く手がけてきた。
自社製品の開発に乗り出したきっかけは、金融機関の紹介で出展した2019年の展示会だった。様々な厚みや形状の鉄部品を並べたが、来場者にほとんど見向きもされなかった。高辻峻吾常務取締役は「技術や特長を伝える商品をつくらないといけない」と感じたという。
ブランド設立とたき火台の開発
従業員でアイデアを出し合い、ランタンやゴルフのグリーンマーカー、ハンガーなどを商品化して展示会に再挑戦すると、来場者の目に留まり、商談につながるなど手応えを得た。
自社製品の開発を本格化するため、外部のデザイナーらを起用して自社ブランド「Play Metal Product」を設立。第1弾として、キャンプ人気を踏まえ24年に「たき火台」を発売すると、組み立てやすさからキャンプ初心者や女性らから注文があったという。
海外展開と今後の展望
25年にはイタリア・ミラノの展示会に出品し、香港の団体が主催するアジアのデザイン賞も受賞。英ロンドンで日本文化を伝える店舗のバイヤーからも注文があった。
高辻常務は「国内では鉄鋼需要の減少で加工業の受注が増えていくとは考えにくい。自社商品は収益の多様化につながる。従業員のチャレンジの場にもしたい」と意気込んでいる。
商品は約30センチの鉄板3枚と三角形のプレート1枚の計4枚からなり、組み立てると自立するたき火台となる。形状がシンプルなため使用後に洗いやすく、小さく収納できるのも特長。自社ブランドのサイトで税込み1万6500円で販売している。



