三重県亀山市の新名神高速道路で3月、スマートフォンを見ながらトラックを運転していた女が乗用車に追突し、6人が死亡した事故で、犠牲者の一人である埼玉県の団体職員、高峰啓三さん=当時(56)=の遺族が取材に応じ、「あれは自動車を使った殺人ではないか」と無念の思いを語った。
13秒のわき見が招いた炎上事故
6月に津地裁で開かれた初公判で、検察側の冒頭陳述に遺族は言葉を失った。自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われた水谷水都代(みつよ)被告は、ダッシュボードにスマホホルダーを設置し、ショート動画を流しながら日常的に運転していたという。
事故当日の3月20日もTikTok(ティックトック)で料理動画を見ながら運転し、一度スクリーンショットを撮影。より良い画像を撮影しようと再度操作するため、13秒ほど前方から目を離し、事故を起こした。被告のトラックを含む車3台が炎上した。
対面は事故から2週間後
高峰さんの遺体は損傷が激しく、兵庫県に住む遺族が対面できたのは事故から2週間後の4月3日。変わり果てた姿に子供たちは涙が一滴も流れなかった。長男(31)は「脳が理解するのを拒んでいた」と話す。
高峰さんは専門学校卒業後、特別養護老人ホームで勤務。約10年前から関東で単身赴任をしながら施設の立ち上げに携わった。仕事の相談をすることが多かった次男(25)は、専門的な会話にも親身に付き合ってくれる知識豊富な父を自慢に思っていた。地元の夏祭りや結婚式で司会を任されると「チャンスが来た」とアドリブを交え、周囲の人を笑顔にした。



