内密出産の法整備急げ、母子の命守る制度設計を
内密出産の法整備急げ、母子の命守る制度設計を

妊娠を周囲に知られたくない女性が病院にだけ身元を明かして出産する「内密出産」を巡り、法的根拠などを整えるための議論が政府・与党で本格化している。政府は経済財政運営指針「骨太の方針」に、内密出産を念頭に置いた「困難な状況にある妊産婦の支援」の推進を盛り込んだ。日本維新の会はプロジェクトチーム(PT)を設け、自民党PTは6月に論点整理をまとめた。

現状と課題

政府は令和4年に内密出産に関するガイドラインを策定したが、根拠となる法律はまだない。母子の命を救ったり、子の出自に関わったりする問題であるため、法的に不安定な状況は避けたい。政府・与党には法整備などが急がれる。

内密出産は3年12月、熊本市西区の慈恵病院で最初に行われた。戸籍法では出生届に父母や子の名前を記載するよう定めているが、出生届は出されず、熊本市が例外的に新生児の戸籍を作った。現在、内密出産を実施しているのは、いずれも民間の慈恵病院と賛育会病院(東京都)だけだ。慈恵病院はこれまでに約70人の女性を受け入れ、賛育会では昨年3月から1年間で7人が出産した。

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望ましい形と命を守る場所

本来、内密出産や新生児を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」は望ましい形ではない。妊娠、出産は祝福されるべきで、親は子を持つ喜びと責任を胸に養育の義務を果たすものだ。だが、妊娠を知られたくない女性が、自宅などで1人で産む「孤立出産」を選ぶケースもある。こうした出産は母子ともに危険が伴い、出産直後に子を殺害・遺棄する事件もある。母子の命を守る「場所」を作らなければならない。

今後の検討事項

課題も多い。出産費用や出生届の問題、子の「出自を知る権利」も保障しなければならず、出産情報の管理や開示方法をどうすべきかも検討する必要がある。内密出産を選ばずに済むよう、匿名で相談できる窓口の充実、予期せぬ妊娠を防ぐための教育も大切だ。自民党PTが論点にあげた「父親の責任」についても議論を深めたい。政府は民間任せにせず、内密出産の実施病院のある自治体とも連携し、適切に運用できる制度設計を図ってもらいたい。

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