中国電力が使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」建設を計画する山口県上関町の町長選が29日に告示される。計画推進による地域活性化を唱える現職と、周辺市町と協議した上で決めるべきだとする新人の一騎打ちとなる見通しだ。2023年の計画浮上後、初の町長選で、周辺市町を巻き込んだ論戦の様相を呈している。
現職は「町の生き残りをかけた事業」と強調
「町の生き残りをかけた事業で、地域振興に不可欠。私たちの町は、私たちが進めていく」。2期目を目指す現職の西哲夫氏(79)は周辺市町の計画反対派をけん制し、計画推進への意欲をこう語る。背景には、急速に進む人口減と地域の疲弊がある。9月1日現在の人口は2040人で、原子力発電所の建設計画が持ち上がった1980年代の3分の1以下に落ち込んでいる。基幹産業が育たない経済的停滞などで人口流出に歯止めがかからず、高齢化率は60%に達した。
中間貯蔵施設を巡っては、中国電が23年8月に、建設に向けた調査を申し入れた。調査段階から、国から電源立地地域対策交付金が交付され、初期対策分では、知事が同意するまでは年間1・4億円、同意翌年度から2年間は最大年9・8億円が町にもたらされる。西氏は「施設が建設されれば維持管理のために人口が増える。交付金がなければ行政サービスはあと数年で維持できなくなる」と強調する。
新人は住民投票の実施を示す
これに対し、新人の政治団体代表、原康司氏(54)は計画の賛否は明らかにせず、選挙後に住民投票を実施する考えを示す。その上で「上関町だけの問題ではない。周辺市町と一緒に議論し検討する」とする。
原発建設の賛否を巡って40年近く続く町の分断の解消を訴え、現町政を批判。海の自然を生かしたまちづくりによる観光、産業振興などを唱える。隣接する同県平生町在住のまま選挙戦を行うという。
周辺市町でも論戦過熱
周辺市町でも論争が過熱している。事故が起きた時には影響を受ける可能性があるだけに、計画反対の決議などを通じて「反対姿勢」を示そうとする動きが出ている。