JR北海道は16日、赤字8区間(黄色線区)の維持・存続をめぐり、沿線自治体に負担を求める「上下分離方式」案の撤回を表明した。今後は国主導の新たな協議会が存続に向けた議論を進め、同社は子会社を設立して非鉄道事業での収益力向上を目指すが、抜本的な改善策の道筋は依然不透明だ。
自治体の反発受け方針転換
16日に札幌市内で開いた定例記者会見で、綿貫泰之社長は「各方面に厳しい意見を頂戴することになり、おわび申し上げる」と陳謝した。
上下分離は、列車運行を同社が担う一方、車両や施設の保有・維持を自治体側に任せる方式。黄色線区の赤字は昨年度約150億円に膨らんでおり、費用負担を減らすため、JR北は4月に沿線自治体側へ検討を求めた。しかし、大きな財政負担が伴うことから反発が相次ぎ、協議を始められない状況が続いていた。
新協議会の構成と課題
同社によると、新たな協議会は国土交通省北海道運輸局を事務局とし、道と沿線自治体で構成。共通の課題を話し合う「全体会」と線区ごとの「ワーキンググループ」を設け、今年度末までに抜本的な改善策をまとめる。利用促進や維持費用の軽減に向け、観光列車を活用した沿線の価値向上や駅舎の自治体への譲渡など、具体的な改善策を示すとしている。
綿貫社長は記者会見後に道庁を訪れ、新しい協議会の事務局への道の参画を要望。鈴木知事は「拙速な取りまとめにならないように丁寧な協議を進めてほしい」と述べ、参画に前向きな考えを示した。
沿線自治体から歓迎の声
JR北の方針転換を受け、沿線の自治体からは歓迎の声が上がった。石北線沿線の北見市の辻直孝市長は「上下分離案の撤回が表明されたことは歓迎している」とのコメントを出し、協議会設置を「前向きにとらえている」とした。
財政難を理由に上下分離方式に反対してきた弟子屈町の徳永哲雄町長は「早期に良い結論が出てよかった。今後もできる協力はしていきたい」と話した。釧網線、花咲線の維持・存続を求める釧路市の鶴間秀典市長は「沿線自治体の声を受けた対応」と好意的に受け止める一方、「沿線自治体に十分な情報を示し、意見を丁寧に確認しながら、合意形成を図ることが必要だ」と求めた。花咲線沿線の根室市の石垣雅敏市長も「時間枠にとらわれることなく、丁寧な論議をすることが必要」とした。
経営改善と子会社設立
黄色線区の維持・存続には、JR北自身の経営改善が欠かせない。外部有識者も交えて設立された「『稼ぐ力』プロジェクトチーム」は、成長が見込まれる非鉄道事業の推進などを提言しており、JR北はこれらを踏まえ、年内に子会社を設立し、収益力を拡大していく考えだ。
JR北の経営改善委員を務める北海道大公共政策大学院の石井吉春客員教授(地域政策)は「国が本格的に議論の場に立つことは一歩前進だ」とし、「持続的に(黄色線区の)赤字幅をどのように減らしていくのかは考えなければならない」としている。



