国連創設80年超、機能不全の中でも外交の要 冷静な姿勢と改革の重要性
国連創設80年超、機能不全でも外交の要 改革の重要性

ニューヨークの国連本部で今年も総会が始まった。機能不全と言われながらも、各国首脳が一般討論演説を行い、傍らで2国間会談が繰り広げられるハイレベルウィークに、米国は昨年に続きパレスチナ自治政府関係者へのビザ(査証)発給を拒否した。「国連本部がニューヨークではなくジュネーブやブリュッセルにあれば……」という声が出るのも無理はない。

創設時の制度設計と本部の所在地

80年以上前の国連創設をめぐる議論でも、本部の所在地は焦点の一つだった。制度設計を陰で主導した英国は、米国を国連に縛り付けておくため、その足元に本部を置く選択をした。

今年の総会にドナルド・トランプ米大統領が出席したのも、11月の中間選挙を前に国内向けの実績自賛の場として利用するためだった。国連本部が遠くにあったら、多国間会議が大嫌いな大統領は参加せず、利用価値がないと見れば平気で脱退したかもしれない。先人が抱いた警戒感は杞憂ではなかった。

安全保障理事会の拒否権とその影響

安全保障理事会の常任理事国(P5)の拒否権が国連を機能不全にしてしまうことも、制度設計者たちは予想していた。ただ、野に獣を放つより囲い込んでおく方がいいと考え、ソ連の国連加盟を確実にするために求められるがままに拒否権を付与し、「紛争当事国は行使できない」とするブレーキも盛り込めなかった。そのツケが、ソ連からP5の地位を引き継いだロシアによるウクライナ侵攻で回ってきた。

国連をここまで永らえさせた仕掛けと経緯は、細谷雄一著『国際連合の誕生』(2025年刊、ミネルヴァ書房)に詳しい。

改革に向けた日本の姿勢

国連は突然、無用の長物と見なされるようになったわけではなく、創設時から問題をはらんでいた。近年、「国連2・0」を創設する案も盛んに論じられている。それでも、同じ場で紛争の敵味方が国際社会に訴えかける枠組みとして、国連を代替する組織を作るのは現実的だろうか。ずっと国連重視で来た日本が「無用論」にくみせず、改革を粘り強く訴えていく姿勢は、ますます重要になったと感じる。