ニデック決算、また「落第」 監査法人「虚偽説明の役員関与」と指摘
ニデック決算、また「落第」 監査法人「虚偽説明の役員関与」と指摘

モーター大手ニデック(旧日本電産)の先行きに暗雲が漂っている。2026年3月期の有価証券報告書は3カ月遅れで提出にこぎ着けたが、巨額の赤字に陥った上、2年続けて監査法人の「お墨つき」が得られないという異例の事態になった。

監査法人の指摘は辛辣

有価証券報告書(有報)は、上場企業が原則、決算期末から3カ月以内の提出を金融庁に求められている正式な財務の報告だ。期限内に出さなければ、それ自体が上場廃止につながる可能性がある。

ニデックは30日の提出で、未提出による上場廃止は免れた。だが、監査意見を「不表明」とした監査法人「PwCジャパン」が、その根拠として挙げた言葉は辛辣(しんらつ)なものだった。

「会計監査人に対して虚偽の説明を行った役職員の一部は、財務報告プロセスにおいて責任ある立場を担当している」

2年連続の「不表明」は前代未聞

ニデックは会計不正に関わったり、監査法人にウソの説明をしたりした役職員の一部を特定している。ただ、人事措置がすべて終わっていないため、その一部はまだ財務報告のプロセスに関与し続けているという。

監査法人は、企業の財務諸表が信頼に値するものかどうかをチェックする。この「お墨つき」で、投資家は安心して株式を買うことができる。「不表明」は重要な監査手続きができず、決算が正しいかどうか判断できなかったことを示す。企業側の事情を理由に監査意見が「不表明」となるのは珍しい。

過去には、米原発事業による巨額損失をめぐり東芝と意見が対立した当時のPwCあらた(現PwCジャパン)が同社の決算に対し不表明とした例がある。

PwCは、ニデックが昨年9月末に公表した前年の有報でも、不正会計の調査が継続中で「十分な証拠を入手できなかった」として監査意見を表明しなかった。

これが引き金となり、ニデックは昨年10月下旬に日本取引所グループ(JPX)から上場廃止もあり得る「特別注意銘柄」に指定された。上場企業の中でも名の通った会社が特注銘柄に指定されること自体が珍しいが、2年連続の「不表明」は前代未聞だ。

上場維持、見通せず

ニデックの不正会計を調べた弁護士らの第三者委員会の報告書には、ニデックが監査法人を「くみしやすい相手」と捉えていた、との記述が盛り込まれていた。ニデックとの信頼関係が維持できなければ、PwCが監査人を降りる可能性もある。