米ペンシルベニア州ヨークの自宅前で、アレックス・ボンド氏(29)は自身が最も懸念する政策課題を挙げた。ガソリン価格、税金――。その次に挙げたのは、AI(人工知能)稼働に必要なデータセンターだった。「AIは恐ろしい」と語るボンド氏の前には、民主党系政治団体「スイング・レフト」の選挙運動員2人が立っていた。
AI搭載アプリで有権者の声を分析
ボンド氏は足首に装着する電子監視装置「アンクルモニター」を提供する企業でアカウントマネジャーとして働く。「きっとAIは人類を滅ぼすだろう」と付け加えた。運動員2人は民主党のジャネル・ステルソン候補の要請で、激戦区である連邦下院第10選挙区に派遣され、戸別訪問を行っていた。
会話が終わると、運動員はボンド氏の発言の要旨をスマートフォンのアプリに入力。そのメモは、同じ選挙区で集められた何百件ものメモとともにAIツールで分析された。分析結果は、有権者の声を集約し、選挙陣営が伝えるメッセージの調整や、ボンド氏のような有権者を支持者に変えるための報告書に反映される。
AIへの警戒感が変化
「人が話すことはすべて、分析に使われるデータになる」と、「スイング・レフト」の東海岸担当組織活動プログラムマネジャー、バイオレット・コップ氏は話す。かつてAIツールに警戒心を抱いたり、扱いに苦慮したりしていた共和・民主両党の候補者や戦略担当者たちも、今ではAIを活用して選挙運動を強化しようとしている。



