長崎県雲仙市国見町神代に「アマチュア無線機器歴史館」がある。壁一面に100台以上の無線機が並び、多くの愛好家が訪れる。館長の大久保晃宏さん(83)が、開館の経緯やアマチュア無線の魅力を語った。
2022年5月に開館、古民家を活用
歴史館は2022年5月にオープンした。母方の実家で、元々は造り酒屋だった古民家が長く空き家になっていたため、地域交流の場として活用できないかと考えたという。木造2階建てで広いスペースがあることから、コンサート会場としても利用されている。
無線機の展示と魅力
大久保さんは20歳頃からアマチュア無線を始め、現在は無線機の専門店を営む。これまでに収集したり寄贈を受けたりした機器をまとめて展示している。無線機の博物館や資料館は全国的にも少ないという。
アマチュア無線の魅力について、大久保さんは「自分で発信局を持ち、世界の人とつながることができる点だ」と話す。インターネットが当たり前の時代で、かつてのような「ありがたみ」は薄れたかもしれないが、不特定多数の人たちと同時にやり取りできるのは楽しいと述べる。
利用者の推移と災害時の強み
アマチュア無線は1965~85年頃にブームを迎え、1992年には国内で150万人が開局していたが、現在は30万人に減ったとされる。県内では多いときで7000人が開局していたが、今は2000人くらいだろうという。
アマチュア無線は災害時に強いとされ、電話回線がパンクしても通信が可能だ。普賢岳の噴火災害の際には、有志が無線機を持ち運んで被害場所や通行できない場所の情報を集め、役所に提供した。2020年の九州豪雨では、熊本の有志が被害発生前に危機的な状況を発信していた。展示されている「TX―1」という機材は、1957年の諫早大水害のときに使われた貴重品だ。
今後の展望
大久保さんは「当館の無線機は、かつて愛好家が憧れた機材がそろっているので、無線機の歴史をいつでも振り返られるような場所にしたい」と話す。一度はアマチュア無線を離れた人も、ここで無線機に触れることで「また始めてみようかな」と思ってもらえるきっかけになればうれしいと述べる。また、メーカーの新製品発表会の場として使ってもらうのもいいかもしれないという。
開館は原則として毎月第3日曜(午前10時半~午後4時半)。問い合わせはハムセンター長崎(095・846・1950)へ。
大久保さんは長崎市出身。中学生時代は鉱石ラジオを自作して野球中継を聞いていた。家業の金物店を手伝っていた1972年、アマチュア無線機器メーカーに頼まれ、同市に専門店「ハムセンター長崎」を開設。アマチュア無線に必要な免許を取得するための講習会も開いており、若い仲間を増やしたいと意欲的だ。



