京都市内の深刻な交通混雑を受け、京都商工会議所が次世代型路面電車(LRT)の導入に向けた政策提言を準備している。今月7日に開かれた「京都経済人会議」では、関西大の宇都宮浄人教授が「金閣寺西大路線」と名付けたルート案を提示し、地元経済界のトップが議論した。
金閣寺から西大路通を南下 全長約10キロのルート案
宇都宮教授が示したルートは、観光客の多い金閣寺から西大路通を南へ進み、西大路九条で東に向かい、九条車庫付近を車両基地とする全長約10キロの計画だ。沿線にはJRや地下鉄、嵐電、阪急などの駅があり、北野天満宮や龍安寺、妙心寺、仁和寺、嵐山といった観光名所のほか、事業所や病院も連なる。
京都は1895年(明治28年)に国内で初めて路面電車が走った街だが、1978年(昭和53年)に廃止された。宇都宮教授は「当時、廃止は世界の潮流でしたが、今は違う。環境保護の流れの中で、パリやバルセロナなど世界有数の観光都市で路面電車が見直され、LRTとして復活を遂げている。『何を今さら』ではなく『今だからこそ』なのです」と述べている。
ウィーンと比較、LRTの優位性を強調
宇都宮教授はウィーン工科大で欧州のLRT事情を研究。観光客が増えても市民が市バスに乗れない問題はウィーンでは起きていないとし、「国際文化観光都市の名にふさわしい交通インフラが京都にはない。市バスの混雑は起きるべくして起きている」と話す。
宇都宮教授によると、LRTは1人の運転手が運べる客数が市バスの2倍以上で、専用軌道を走るため渋滞に巻き込まれにくい。財政負担については、フランスとドイツの事例から1キロあたり約40億円と試算。「地下鉄を掘るなら10倍はかかる。上下分離方式の導入など、官民が役割分担する場合には、国の手厚い補助がある」と説明する。
過去の断念を経て、まずは小さな成功例を
京商の内部では市外周を循環するルート案もあるが、京都市は過去に財政難でLRT導入を断念した経緯がある。宇都宮教授は「まずは小さな成功例をつくること。反対論があった宇都宮市のLRTも、成功した今は延伸に向けて動き始めている」と強調する。
京商は25日の「京都未来戦略会議」で、堀場厚会頭や西脇隆俊知事、京都市の松井孝治市長ら産官学のトップと京都の交通インフラ充実について議論し、処方箋を探る予定だ。



