モーター大手のニデック(旧日本電産)が製品の品質不正に関する調査委員会の報告書を公表した。顧客に無断で材料や製造工程を変更したり、試験や検査結果を改竄・捏造したりした不正行為は合わせて844件確認された。このうち60件を法令違反などの可能性がある「重要品質事案」に認定した。
不正の背景に永守氏への権限集中
不正行為の背景については、創業者の永守重信氏に権限が集中し、事業の実態に見合わない短期的な業績目標の達成やコスト低減が強く求められていたことなどを挙げた。昨年発覚した会計不正で露呈した経営のひずみが、ものづくりの現場にまで及んでいたことになる。
永守氏は会計不正の発覚後、公の場で一度も説明していない。岸田光哉社長は会見で「現在のトップは私なので説明責任は私にある」と述べたが、それで済む問題なのか。会計不正、品質不正とも永守氏が不正行為を指示した事実は確認されていない。だが、いずれも永守氏ら経営陣による過度なプレッシャーが不正の背景にあると認定されている。永守氏は株主や顧客に対して自らの言葉で説明する責任がある。
不正は平成24年から継続
報告書によると、不正行為は平成24年から行われていた。業績目標の達成やコスト低減などのプレッシャーの中で、製造現場や品質保証部門の役職員は「仕方がない」「(この程度であれば)問題ない」と受け止め、定着していったという。調査委のアンケートでは「社内の納期、売り上げ、収益またはコスト削減へのプレッシャー」が不正の原因との回答が3割を超えた。問題を報告しても支援を得られず、「言った者負け」との認識が広がった。
品質はものづくり企業が最も重視すべき事項である。ニデックは安全性に問題はないとするが、長年にわたり品質に関わる不正行為を行っていたことは顧客への重大な背信行為だ。
上場廃止の可能性も
ニデックは会計不正を受け、東京証券取引所から「特別注意銘柄」に指定されている。10月末までに内部管理体制の改善の道筋を示せなければ、上場廃止となる可能性がある。企業風土の抜本的な改革も急がねばならない。現経営陣は顧客の信用を取り戻すことが存続のための最重要課題であると銘記すべきだ。



