九州新幹線デザインの水戸岡鋭治氏「手間ひまかけたものに人は感動」
九州新幹線デザインの水戸岡鋭治氏「手間ひまかけたものに人は感動」

「無邪気な楽観」という言葉が取材中、何度も出ました。常に前向きな姿勢が言葉の端々から伝わってきます。九州新幹線のデザインを手がけた話題のインダストリアルデザイナー、水戸岡鋭治さん(64)の人生訓は「次に何ができるかは、自分でなく人が決めること」―。

理想とは遠い仕事

列車の入り口から〝煙〟が出てくる。車両には進行方向を向いた座席と窓の外を見る横向きの席。JR九州が3月から鹿児島県で運行する観光特急「指宿(いぶすき)のたまて箱」をデザインした主は、笑いながら解説する。「入り口から出てくるのはミスト(霧)。なんといっても玉手箱だから」

親子が並んで座れる専用席を設けた特急「あそぼーい!」(熊本、6月)、バーカウンターが設置された特急「A列車で行こう」(同、10月)など今年だけでもさまざまな発想の電車をデザインした。駅舎や駅弁の包装紙、町おこしにまで携わる。

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ものを作る大変さ

実家は岡山県の家具製造販売業。「ものを作る大変さを知っているからこそ、もう少し楽な仕事がしたい」と、子供のころから間近で見てきた職人でなく、デザイナーを志望した。「なってみたら全然楽じゃなかった」と笑うが、少年の夢がかなうまでの道筋は平坦ではなかった。

地元の工業高校を卒業後、大阪市内のデザイン事務所に就職。社長の勧めでヨーロッパに留学し、そこで色や形が統一された西洋の街並みに出合う。「レオナルド・ダビンチや(アメリカの映画製作者)ウォルト・ディズニーなど、総合的なデザインができる人になりたいと思い始めた」

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