出版取次大手の日販グループホールディングスが、米AI(人工知能)開発企業アンソロピックへの書籍販売を認めた。事実確認を求めていた日本書籍出版協会(書協)への回答で判明した。複数の出版関係者への取材で6日に分かった。
書面で販売事実を認める
日販はこれまで、取引の有無も含めて明らかにしていなかった。出版関係者によると、日販は5日、書面で回答。海外事業を手掛ける日販アイ・ピー・エス(IPS)が、書協に所属する出版社の発行物を、米AI企業のアンソロピックに販売した事実があると認めた。
2024年11月に日販IPSがアンソロピックと取引契約を締結し、12月から25年12月まで販売したと説明されていたという。
利用目的の確認も
一方、契約締結前にはアンソロピックに利用目的の確認を行っていたとし、その際の説明からは、AI学習への利用を目的とした書籍購入という認識には至っていないとも説明。また、どこの出版社のどんな書籍を販売したかなどの明細については明かさず、出版社からの個別の問い合わせに対応するとした。
背景に米国裁判資料
日販がアンソロピックに書籍を販売していた可能性については、米国の裁判資料に記載があった。AIの学習のために海賊版サイトの書籍を無断で利用したとして、米国の作家らがアンソロピックを相手に起こした著作権侵害訴訟で、7月までに和解している。その裁判資料に日販とみられる「Nippan Japan」が複数回登場していた。
販売された書籍がAI学習に使用された可能性もあることなどから出版業界で反発が広がり、出版社約380社が所属する業界団体の書協が9月に事実確認を求める書面を日販に送っていた。書協への説明について、日販は取材に「個別取引に関する事項は、回答は差し控える」とした。