ノーベル賞委員会は、ピレイ元国連人権高等弁務官へのノーベル平和賞授与を決定した。授与理由として、ピレイ氏による国際法の影響力拡大や制度強化を挙げた。国際法を顧みない国際政治の現状に警鐘を鳴らすメッセージであり、国際刑事裁判所(ICC)の「解体」を掲げるなど国際法や多国間協調を軽視するトランプ米政権からの反発が予想される。
国際法への警鐘と米国の反発
同委員会は、ICC裁判官などを歴任したピレイ氏の受賞理由発表の際、名指しは避けつつも米国などの大国を念頭に、「国際法システムは強大な圧力を受けており、力による政治への傾斜が見られる」と指摘。「秩序と混沌の間の境界線を守る裁判官たちは称賛に値するが、まさにその裁判官たちが制裁を受けている」と強調した。
トランプ政権は、ICCが米国やイスラエルなど非加盟国に対しても司法権を行使しようとしているとして、圧力を強めている。これまでにICCの赤根智子所長や複数の裁判官に制裁を科し、各加盟国に対しては脱退を呼びかけている。
トランプ氏への影響
一方、トランプ氏はこれまでに自身がノーベル平和賞を受賞することを熱望してきた。今月7日にも記者団に対し、これまでに世界各地で「8つの戦争を解決した。何百万人もの命を救った」と自賛。「受賞しようがしまいが、はるかに多くのことを成し遂げてきた」と強調した上で、トランプ氏に授与しなければノーベル賞委員会にとって「大きな不名誉になる」と述べていた。