JALモバイルは、IIJに続き、ドコモをパートナーに迎え、6月に「JALモバイル powered by ahamo」をスタートさせた。ビジネスモデルや料金体系はIIJのときと同じで、通信サービスそのものはドコモがホワイトレーベルとして提供するahamo版のオプションという形でJALのマイレージプログラムであるJMBとのひも付けを行い、JAL側が用意する特典を受けられるようにしている。
毎月のマイル付与や、1年に1回、行き先が国内4カ所の中からランダムで決まる「どこかにマイル」を1500マイルで利用できる特典はそのまま。初回のみ、システム連携のためのオプション料金はかかるが、その後の料金は通常のahamoと同じだ。JALでマイルをためているユーザーはもちろん、既存のahamoユーザーにもメリットが多い仕組みで、発表時には大きな話題を集めた。
ahamo追加の背景と両社の狙い
JALモバイルはIIJ単独提供だったときから人気が高く、MVNOにとっても本領を発揮できるビジネスモデルと評価されていた。そんなJALが、なぜ新たにドコモとタッグを組み、2つの事業者のプランを提供していくのか。JALモバイルを手掛けた日本航空とドコモのそれぞれに、同サービスに踏み出した狙いを聞いた。
インタビューには、日本航空のマイレージ・ライフスタイル事業本部 マイレージ事業部 事業戦略グループ マネージャーの服部陽介氏と、ドコモの海外事業部 営業推進室 担当部長の東出裕一郎氏、秋山小百合氏がこたえた。
海外ローミングに強いahamoへの期待
日本航空の服部氏は、ドコモとはdポイント交換やデータ連携の実証実験など、長い間一緒に取り組みをしてきたと説明。「マイレージ事業部にとどまらず、いろいろなところで日々ディスカッションをしています。その一環で、ドコモの皆さんと新しい取り組みができないかを考える中、こういったこと(JALモバイル powered by ahamo)ができないかというお話になりました。話が上がった瞬間、いいサービスになると確信が持てました」と語った。
東出氏は「議論をしている中で生まれたもので、われわれも、ワクワクしながらいいサービスを出せると考えて取り組ませていただきました。もともと、JALモバイルはIIJさんが先行していて、その辺のことは拝見していましたが、MNO(Mobile Network Operator)としては初めてなので、どういうやり方であればお客さまにお届けできるかを考えていきました」と振り返る。
ahamoを選んだ理由について、服部氏は「ありきというわけではなかったですね。他のプランも含めてディスカッションはしましたが、その中でahamoがいいとなりました。JAL側からすると、日本人では知らない人がいないぐらい知名度が高く、説明不要です。しかも、ahamoは特に若年層に人気が高い。JALとして、若年層の開拓は永遠のテーマで、かつ絶対にやらなければならないミッションです。会社としての思いと、ahamoの絶対的知名度や若年層の人気があり、ahamoをやらせていただくことになりました」と説明した。
料金プランの評価について、秋山氏は「ahamoはWeb専用として立ち上げたもので、ドコモとしても合理的でしっくりくるということはJALさんともお話ししました。他にも検討しましたが、やはりahamoが一番という結論になりました」と語る。東出氏は「狙いに合致するのは若年層ということで、ahamoに決まっています」と続けた。
IIJのサービスへの影響と棲み分け
海外ローミングが無料であることの重要性について、服部氏は「おっしゃる通りです。IIJさんとやっている中で、なぜahamoをやらせていただいたかというと、海外ローミングがあります。お客さまの声が圧倒的に多かったからです。IIJさんとのサービスも、すごく好評で自信を持っていますが、お客さまからは、『JALが提供するサービスなんだから海外で使えるサービスだとうれしい』『使えるサービスを考えてほしい』というお声をいただいていました」と明かした。
「SNSを見てもそうですし、コールセンターにお電話でご質問をいただいたこともあります。さすがにこれをやらなくてはダメだなと思いました。ahamoは、これ以上にないぐらい海外ローミングに強い。海外では、機内モードを解除すればすぐに使えますからね」と付け加えた。
実際、同社の客室乗務員やパイロットからの評価もめちゃくちゃよかったといい、「ahamoとやるとなったとき、一番喜んでいたのはむしろ社内だったのではというぐらいです(笑)」と語る。ただし、補足すると5月からIIJさんの海外eSIMをJALモバイルで提供している。「意外と言っては失礼ですが、そちらも好評で多くの方にお使いいただいています。マイル還元率も高く、かなりおトクになっていますし、IIJさんを契約されている方のご利用が多く、ニーズにお応えできています」という。
IIJのサービスに不満はなく、ahamoとすみ分けが図られている。服部氏は「これはうそ偽りなく、まったくありません。IIJさんは独自の取り組みをしているだけあって、MVNOの中では品質がいいとか誇っています。実は昨年(2025年)始める前は、少し心配していたところはありましたが、ふたを開けてみると、つながりにくかったり、品質が悪かったりとの声はまったくありませんでした。ですから、不満があってということはありません」と述べた。
ahamoが始まったことで、IIJ側も伸びているという話を小耳に挟んだが、これは事実だろうか。服部氏は「はい。事実です。両方が伸びています。これは予想通りというか、狙い通りというかですが、知名度が上がっています。今回のように、いろいろなところで記事にしていただけていますし、それを加味される際に、『私はIIJ』『私はahamo』というような選択ができるようになりました。もちろん、IIJからの移行もゼロではありませんが、ほとんどない状況で、少なくとも事業に影響するようなことはまったくありません」と答えた。
「JALモバイル powered by ahamo」の提供後も、「JALモバイル powered by IIJmio」への移行が極端に進むことなく、すみ分けが図られているという。
内容量はahamoというようなすみ分けが進んでいるのだろうか。服部氏は「意外かもしれませんが、そうはなっていません。皆さん、容量で選んでいるわけではなく、MNO品質を求める方や、海外利用をしたい方がahamoを選んでいるようです。IIJの中でも内容量を選ぶ方の比率が落ちていないからです。MVNOということもあり、IIJは内容量もお安くなっているので、価格コンシャスな方が引き続きIIJの内容量を選ばれる傾向があります」と説明した。
「ダブルJALモバイル」のように、両方契約する人もいるのだろうか。服部氏は「めちゃくちゃいます。今は1人1台の時代ではなくなってきているのではではないでしょうか。私自身、IIJはiPadに入れて、普段はahamoというように使い分けています」と明かした。