日本CTO協会は10月5日、企業のAI変革(AX:AIトランスフォーメーション)の現在地を可視化する自己診断フレームワーク「AX Criteria」を一般公開した。AIエージェントとの協働を前提として、経営戦略や人材、技術基盤など5つの視点から組織の状況を診断する。50項目の問いを通じて、経営層と現場の認識を揃え、次に取り組むべき組織変革を考えるきっかけとする狙いだ。
5つの視点と50項目でAI変革の現在地を診断
「AX Criteria」は、AIエージェントとの協働を前提として仕事と組織を変える「AX」の現在地を確認するためのフレームワークである。日本CTO協会はAXについて、人の役割や学び方、組織の動かし方が変化するものと位置付けている。人は目的を決めてAIに仕事を任せ、その結果を評価して責任を持つ。組織では業務全体を組み直し、そこで生まれた余力を新しい価値へ振り向けるという考え方だ。
診断には「Strategy(経営戦略)」「Staff(人材)」「System(技術基盤)」「Symbiosis(人とAIの協働)」「Security(ガバナンス)」という5つのカテゴリを用いる。各カテゴリには5つのサブテーマがある。さらに、各サブテーマには2つのクライテリアを設定されており、合計50項目を0~4の5段階で評価する仕組みだ。
スコアの定義と活用方法
スコア0は「取り組みがない」状態を示す。スコア1は必要性を認識し、議論や個人的な試行を始めている状態である。スコア2では一部の部門や業務で試験的に取り組む。スコア3では主要な範囲で仕組みとして導入・運用している。最上位のスコア4は、制度や文化として定着し、記録と改善を続けている状態だ。
「AX Criteria」の目的は、企業や人の優劣を決めることではなく、満点を全ての組織が目指すための指標でもないと同協会は示す。経営層と現場がそれぞれ診断し、その結果を持ち寄ることで認識の違いを確認する使い方を想定。そこから具体的な業務について話し合い、自社が変えるべき部分や取り組む人を決めるための道具として位置付ける。
策定の背景と今後の展望
策定の背景には、AIの導入状況だけでは組織変革の進捗を十分に把握できないとの問題意識がある。導入したAIの数や社員の利用率といった数字だけでは、AXが組織的に行われているか、生産性が向上しているかなどを測ることは難しい。また、経営層が「導入は済んでいる」と捉える一方、現場では「業務の進め方は変わっていない」と受け止められるなど、認識が食い違うケースも指摘する。「AX Criteria」は、こうした認識差を議論する際の共通の物差しとして活用することを想定しているそうだ。
一般公開に先立ち、日本CTO協会の法人・個人会員を対象に先行トライアルを実施。そこで寄せられた意見は、項目や解説の改善に反映しており、公開後も利用者から現場の声を集め、項目や解説を更新する予定だ。