轟音が響く氷上のF1、ドロミテの山肌を駆け抜けるボブスレー
轟音を立てながら、流線形のそりが氷の壁を疾走する。ドロミテの山肌に沿ってつづら折りになった全長約1.4キロのコースでは、ミラノ・コルティナ冬季五輪のボブスレー競技が21日、イタリア・コルティナダンペッツォのそり会場で行われていた。この町はミラノから約250キロ離れた場所に位置し、人口約5500人の小さなコミュニティだ。
五輪の舞台、英雄の名を冠するコース
「氷上のF1」と呼ばれるスピードに、各国の旗を手にした観客は息をのみ、ゴールと同時に歓声が爆発した。このコースは、地元が生んだボブスレー界の英雄、エウジェニオ・モンティの名を冠している。経費削減のため一時は国外のそり施設利用も検討されたが、曲折を経て1956年冬季五輪の旧施設跡地に再建された。総工費は1億1800万ユーロ(約215億円)にも上り、大きな投資が行われた。
そり文化が息づく町の課題と未来
世界遺産・ドロミテ山塊に抱かれたこの町には、古くからそり文化が根付いている。しかし、競技人口の少なさと施設維持費の高さがそり会場の課題とされる。それでも、このコースは2028年冬季ユース五輪でも使用される予定で、五輪の遺産としての役割が期待されている。氷上を疾走する一瞬の輝きは、五輪の宴の後も持続可能なのか、地元の取り組みが注目される。
ボブスレー競技が行われているそり会場からは、コルティナダンペッツォの街並みが一望できる。練習中には鐘楼が遠くに見え、伝統と現代が交錯する光景が広がる。競技後には、傷ついたトラックの補修作業も行われ、施設の維持管理が続けられている。
この小さな町のそり会場は、五輪を通じて国際的なスポーツ遺産となりつつある。しかし、持続可能な運営には、地元コミュニティやスポーツ組織の協力が不可欠だ。ドロミテの自然と調和した施設が、未来のアスリートたちに受け継がれるか、その行方に期待が集まる。



