法務省などは25日、青森市の新町キューブでハンセン病問題の理解を広げるシンポジウムを開催する。元患者や市内の中学生らが参加し、オンラインで全国に配信される。患者の強制隔離を定めた「らい予防法」廃止から30年が経過したいまも、差別が残る現状を伝える。
ハンセン病とは
ハンセン病は末梢神経や皮膚が侵される感染症。感染力は極めて弱いものの、顔や手足の変形が起きることもあり、家族への偏見や差別を生んだ。患者を療養所などに隔離するよう定めたらい予防法は1953年に施行され、96年になって廃止された。
シンポジウムの内容
今回のシンポは2部構成。第1部では松丘保養園の沢田大介学芸員がハンセン病問題の概要について解説し、患者を地域から排除する運動が全国で進められた歴史などに触れる。その後、元患者らが自身の体験を話す。
第2部では、青森市内の浦町、新城、南の3中学校の生徒が登壇。新型コロナウイルスの流行時に偏見や誹謗中傷が生じた事例を基に当事者を演じるプログラムを行い、中学生や参加者に差別のない共生社会の実現に必要なことを考えてもらう。
元患者の思い
松丘保養園入所者自治会長の佐藤勝さん(78)も登壇する。小学校卒業の直前にハンセン病を発症し、小学校はなんとか卒業できたが、中学校に通うのは「拒否された」と当時を振り返る。「偏見や差別を経験してきたからこそ、現在も世界には、人種や障害などに基づく人権問題はまだまだ残っていると感じる。シンポジウムでは、当事者の思いを伝えたい」と話している。
患者らが隔離された国立療養所は全国に13か所あり、法務省人権啓発課によると、シンポは療養所のある地域を中心に、2005年から年に1回程度開催している。青森市にある松丘保養園は、東北6県と北海道によって1909年に設立された。この地方の患者が集められ、現在も30人以上が入所している。



