東武4人死亡事故で3年前の富山地鉄事故遺族が憤り「同じだ」
東武4人死亡事故 3年前の地鉄事故遺族「同じだ」と憤り

栃木県鹿沼市の東武日光線新鹿沼駅構内で作業員4人が特急列車に接触して死亡した事故を受け、3年前に同様の富山地方鉄道の事故で次男を亡くした富山県滑川市の男性(65)が、読売新聞の取材に初めて応じた。これまでマスコミの取材は避けていたが、憤りの気持ちが重い口を開かせた。「もうこれ以上、鉄道の現場で働く人を犠牲にしないでほしい」と訴える。

3年前の地鉄事故と重なる共通点

地鉄の事故では、2023年4月11日午前、富山市で作業員、清水健吾さん(当時19歳)がほかの作業員らと計6人で線路の枕木の下に砂利を突き入れる作業をしていたところ、列車に接触して亡くなった。健吾さんは鉄道会社に就職した兄の背中を追って、自らも地鉄に入社。鉄道の電気設備の保守工事を担ったが、人員不足で保線作業を手伝う中、事故に遭った。

事故から約15分後、会社で勤務中の男性の携帯電話に、健吾さんの上司から「健吾さんがはねられた」と緊急の連絡があった。「鉄道会社で働く人間が列車にはねられるなんて、ありえない」。直後に「見張りをやっていなかった」という会社の説明を受けて、怒りで震えた。

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事故調査報告書と裁判の結果

国の運輸安全委員会が25年に公表した事故調査報告書では、事故原因について「社内要領に定められた見張り員が配置されず、列車接近の合図がなかった」と結論づけた。事故当時、見張り員はほかの作業をしており、見張りに専念していなかった。男性は「やるべきことをしていなかった。鉄の塊がぶつかれば人が亡くなるのは当たり前だ」と憤る。

現場責任者だった男(53)は業務上過失致死罪に問われた。男は今年3月、富山地裁で禁錮1年6月、執行猶予3年の判決を受けて確定した。「判決が出ても亡くなった息子は帰ってこない。これからは静かに生きていこう」と思っていたが、東武線で事故が起きて衝撃を受けた。

東武線事故との類似点と遺族の思い

東武線の事故は、見通しの悪い場所に配置され、列車の接近を監視する「中継見張り員」が所定の位置にいなかったことや、「列車見張り員」が列車の運転士に緊急停止を求める合図を出していなかったことなどがわかっている。男性は「健吾のときと一緒だ。安全に対する意識が足りなかった」と悔しさを感じた。

健吾さんは、穏やかな性格で家族思いだった。姉に長男が生まれると「叔父になった」と喜び、おいの写真をスマートフォンの待ち受け画面に設定するほどかわいがった。形見となったそのスマホからは、生前と変わらず、平日の朝6時にアラームが鳴り続け、仕事にひたむきだった健吾さんを思い出させる。男性は、「楽しいときも悲しいときも、一日も健吾を忘れたことはない」と目を潤ませる。

男性は事故のショックで会社もやめた。「あの事故で家族の人生は変わった」と振り返る。「同じような事故を二度と起こさないよう、今回の事故を鉄道業界全体で真剣に受け止めるべきだ」と語気を強めた。

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