緊急避妊薬の薬局販売で性暴力が見えなくなる危険性、産婦人科医が懸念
緊急避妊薬の薬局販売で性暴力が見えなくなる危険性

薬局販売開始から5カ月、産婦人科医の88%が懸念

今年2月、日本で緊急避妊薬(アフターピル)のスイッチOTC化が実現し、薬局での販売が始まった。消費者団体からの要望から約5年を経ての実現だが、現場の産婦人科医からは懸念の声が上がっている。日本産婦人科医会のアンケートでは、回答した約5000人の医師のうち88.1%が「スイッチOTC化に何らかの懸念あり」と回答。具体的には「転売や性暴力への悪用」「妊娠への対応の遅延」「性暴力・DVへの気付きや相談機会の喪失」が主な懸念事項として挙げられた。

若年層への影響と年齢制限の不在

現在、緊急避妊薬を販売できるのは事前研修を受けた薬剤師のみで、販売登録を受けた薬局やドラッグストアに限られる。7月1日時点で全国約1万6000店舗で取り扱いがあるが、アメリカやイギリス、ドイツ、インドなどと同様に年齢制限は設けられていない。そのため、16歳未満でも親の同意なく購入できる。これまで医療機関が閉まっている時間帯に入手困難だった問題は解消されたものの、若年層への対応が新たな課題として浮上している。

性暴力の見逃しリスク

産婦人科医が最も危惧するのは、性暴力や性的搾取による妊娠が見えなくなることだ。これまでは診察を通じて医師が背景に気づき、支援につなげるケースがあったが、薬局での販売ではその機会が失われる。ある産婦人科医は「明らかに父親ではない男が子どもを連れてきて、緊急避妊薬を求めるケースもある。薬局ではそうした異常に気づきにくい」と指摘する。アンケートでも「性暴力・DVへの気付きや相談機会の喪失」が懸念事項として上位に挙がっている。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

今後の課題と対策

薬局販売の拡大に伴い、薬剤師の研修や相談体制の充実が急務となっている。日本産婦人科医会は、薬局での販売に際して、性暴力やDVの兆候を見逃さないためのガイドライン作成や、医療機関との連携強化を求めている。また、緊急避妊薬の転売防止や、適切な使用を促す啓発活動も重要だ。鈴木理香子フリーライターは「緊急避妊薬の入手が容易になったことで、性暴力の隠蔽や妊娠対応の遅れを招かないための対策が不可欠」と述べている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ