トヨタ自動車と日産自動車が、電気自動車(EV)用電池のリサイクル事業で協業することが明らかになった。両社は2026年から実証実験を開始し、使用済みリチウムイオン電池からリチウム、コバルト、ニッケルなどのレアメタルを高効率で回収する技術を共同開発する。回収した素材は、新たな電池の正極材として再利用する計画だ。
日本メーカー初の協業、EV普及の課題解決へ
自動車業界では、EVの普及に伴い、使用済み電池の処理が大きな課題となっている。2030年以降、日本国内で年間数十万トン規模の使用済み電池が発生すると予想され、リサイクル技術の確立は急務だ。トヨタと日産は、それぞれ独自にリサイクル技術の研究を進めてきたが、今回の協業により開発期間の短縮とコスト削減を目指す。
トヨタの担当者は「両社の知見を結集することで、世界最高水準のリサイクル技術を早期に確立したい」とコメント。日産の担当者も「EVのライフサイクル全体での環境負荷低減に貢献できる」と述べた。
実証実験の詳細と今後の展望
実証実験は、トヨタと日産がそれぞれ保有する使用済み電池を対象に、2026年から2028年まで実施される。具体的な場所や規模は今後調整するが、両社の工場やリサイクル拠点を活用する見通し。実証では、回収率の目標をリチウム95%以上、コバルト・ニッケル98%以上と設定。従来の手法に比べ、コストを30%以上削減できる技術の確立を目指す。
成功すれば、2028年以降の事業化を視野に入れ、他の自動車メーカーや電池メーカーへの技術提供も検討する。これにより、日本全体のEV電池のリサイクル体制を強化し、資源の安定確保につなげたい考えだ。
環境規制と資源確保の両立
欧州連合(EU)は2031年から、使用済み電池のリサイクル率を義務化する新たな電池規則を施行する。日本メーカーにとっても、リサイクル技術の確立は輸出競争力を維持する上で不可欠。また、リチウムやコバルトは生産国が限られ、価格変動が激しいため、国内でのリサイクルによる資源確保は安全保障上の意味も持つ。
今回の協業は、トヨタと日産が競争領域を超えて連携する象徴的な事例となる。両社は今後、電池リサイクルに関する国際標準化にも共同で取り組む方針だ。



