脚本家の野木亜紀子氏が3日、自身のX(旧ツイッター)を更新。『文春オンライン』『週刊文春』が報じた、フジテレビ4月期連続ドラマ『夫婦別姓刑事』の撮影現場における主演・佐藤二朗の共演者・橋本愛へのハラスメント疑惑について、自身の見解を述べた。野木氏は本作品とは無関係のフリーランス脚本家であると断った上で、映像制作現場の一般的な慣行を説明し、橋本愛へのバッシングが過熱している現状に警鐘を鳴らした。
野木氏の前置きと立場
野木氏は「俳優バッシングがあまりに加熱しており、一俳優が負うべきではないことまで非難されているので見ていられない」と投稿の動機を説明。さらに「私は本作品とは無関係のフリーランス脚本家ですが、業界の片隅にいる人間として少々知見を述べます」とし、テレビ局と男性俳優事務所から声明が出ており、それらをある程度事実と勘案した上での話であると前置きした。文春の報道内容を男性俳優側は否定しており、野木氏は「私はそこをジャッジする立場にありません」と明確にした。
アドリブの身体接触と現場のルール
野木氏は「トラウマという言葉が先行しているせいで話がこじれている」と指摘。その上で、台本にないアドリブでの身体接触について、事前に知らせてほしいと役者が求めることは現代では特段珍しくないと述べた。演劇のワークショップでも身体接触については事前説明が一般的だという。ドラマや映画で夫婦役だからといって接触が必要とは限らず、作品の設定と解釈次第だと説明。台本にないアドリブであれば、その接触の必要性を判断するのは演出(監督)の役割であり、共演者から意見を受けた場合には対応が必要で、双方の許容範囲を探りながら現場をまとめるのは演出とプロデューサーの仕事だと強調した。
また、接触禁止ではなく肩と腕はOKで他は相談というルールになったことについて、「肩と腕以外の接触は事前に相談する」程度のレギュレーションで女優失格というなら、世界中の多くの女優が失格になると指摘。レギュレーションがなくても事前に相手に確認する男性俳優は多く、女性に限らずNG項目がある男性俳優も存在すると述べた。
番組側の責任と女性俳優へのバッシング
野木氏は、女性俳優側が事前に身体接触NGの可能性を話し、プロデューサーがそれを了承して起用したなら、番組側の責任だと指摘。女性俳優側が「男性俳優本人に伝えるかどうかは任せます」としたのは、演出やプロデューサーが現場をコントロールしてくれると信じたからであり、それはよくあることだと述べた。「俳優同士が直接NGを伝えたりクレームを言い合うなんて事態は、現代においてそうそう起きない」とし、その点が押さえきれていればと悔やんだ。
さらに、男性俳優事務所の声明によると、クランクインの3カ月前にプロデューサーとマネージャーが相談し、男性俳優本人には伝えないことに決めたという。つまり番組側が「伝えなくてもこのドラマなら大丈夫だろう」と作品性を含めて判断したのであり、この点で女性俳優側が責められる謂れはないと主張。SNS上で女性俳優の大河ドラマでの抱擁シーンなどが切り取られ、「このドラマでは接触してるのに、こっちはダメなのか」と批判されていることについて、完成映像は役者と演出がOKした上で撮影されたものであり、単純に比較するのは筋違いだと断じた。
騒動の本質と最終的な見解
野木氏は、今回の騒動は撮影段階での手続きの話であり、完成映像を比較しても意味がないと指摘。レギュレーションや事前の打ち合わせがあっても、役者は本番で自然に演技できるとし、今回の男性俳優も当然できるだろうと述べた。個人の感想として、クランクイン前に番組側がNGを伝えていれば、芝居の制約がどうのとプロの男性俳優に対して失礼ではなかったか、と疑問を呈した。
最後に、女性俳優としてもこんなことを表に出したくなかっただろうし、女性俳優が男性俳優を潰そうとしているかのような言説はおかしいと強調。「男性俳優が全て悪いという書き方をした文春を責めるならまだしも、女性俳優をバッシングするのは筋違いです」と警鐘。インスタグラムに誹謗中傷を書き込んでいる人々に対し、「訴えられたら負けるので、今のうちに消したほうがいい」と忠告した。また、文春記事のサムネイルに女性俳優が涙を浮かべた写真を使っていることについて「ほんまゲスい!!」と批判し、投稿を締めくくった。



