1985年に熊本県松橋町(現・宇城市)で男性が刺殺された「松橋事件」をめぐり、2019年に再審無罪が確定した故・宮田浩喜さんが当時の捜査と検察の対応を違法として、国と県に約8500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が27日午後2時から、福岡高裁(岡田健裁判長)で言い渡される。
長時間取り調べの実態
宮田さんは事件から12日後に逮捕されるまで、ほぼ連日、少なくとも計約63時間にわたって任意で取り調べを受けた。午後11時すぎまで帰れなかった日もあった。任意の取り調べが「社会通念上相当と認められる方法、態様、限度を超えている」かどうかが争点の一つとなっている。
矛盾した証拠
弁護団は97年、検察が開示した証拠から、宮田さんが「凶器の小刀に巻き付け、犯行後に燃やした」と供述していたシャツの布を発見。これは起訴の4日後に県警が見つけており、血液の付着がないとする鑑定結果もあった。検察がこの証拠を公判で明らかにしなかったことについて、弁護団は「証拠隠しだ」と非難し、刑事裁判を続けた対応を違法としている。
訴訟の経緯
これらの矛盾から16年に再審開始が決定され、19年に宮田さんの無罪が確定した。宮田さんは20年9月に国と県に賠償を求めて提訴したが、翌10月に死去。裁判は相続人が継承している。



