千葉豪雨で県庁に帰宅困難者1400人、想定の2倍超 誘導・周知に課題
千葉豪雨で県庁に1400人、想定2倍超 誘導に課題

8月13日午後11時ごろ、千葉県庁本庁舎(千葉市中央区)1階では、大雨による冠水で千葉駅周辺の電車やバスが運休し、身動きが取れなくなった帰宅困難者が次々と押し寄せ、長蛇の列ができた。受け付けにたどり着くまで約2時間かかった人もいた。

想定の2倍以上を受け入れ

県庁は千葉市が指定する帰宅困難者向け「一時滞在施設」の一つ。当初は1階のみだったが、午後7時の開設から2時間余りで満員となり、上の階や中庁舎、南庁舎も開放した。最終的に事前想定の641人を大きく上回る約1400人を受け入れ、100人超の県職員が誘導や物資配布にあたった。

ずぶぬれの人や妊婦、子供の姿もあり、体調不良を訴えた8人のうち1人は救急搬送された。県管財課の望月菜々栄副課長は「どれだけ来るか見通しが立たない中、ギリギリの対応だった」と振り返る。

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開設は12か所中7か所のみ

千葉市は2011年の東日本大震災の教訓から、千葉駅周辺で県庁や民間施設など12か所を一時滞在施設に指定し公表していたが、この日は計画通りに進まなかった。駅から北へ約1キロの「千葉JPFドーム」は浸水で急きょ閉鎖。銀行2か所への開設要請は「収容しきれるだろう」という理由で見送られ、開設できたのは7か所にとどまった。

市生涯学習センターや臨時で開設した市役所などへの積極的な誘導はなく、関係機関との人流調整は後手に回った。

知事のX発信で県庁に集中

一方、県は県庁の開放を熊谷俊人知事のX(旧ツイッター)で発信し、千葉駅などでも広く周知。その結果、雨の中でも運行を継続した千葉都市モノレールで多くの帰宅困難者が県庁に向かった。市によると、千葉駅周辺の一時滞在施設に身を寄せたのは計2783人で、半数以上が県庁に集まった計算になる。

市は県や鉄道会社、民間企業と対策協議会をつくり、昨年11月には千葉駅から徒歩で市施設に誘導する訓練を実施していた。だが、想定していたのは地震で、冠水で徒歩移動が困難となる今回の豪雨では無力だった。市防災対策課の西井雄介課長は「雨でこれほどの帰宅困難者が発生するとは想定できていなかった。誘導や周知での連携に課題を残した」と語る。

大雨への備えも必要

国の想定も遅れている。昨年7月のカムチャツカ半島付近の地震による津波警報で多くの帰宅困難者が発生したのを受け、内閣府は「帰宅困難者対策に関するガイドライン」を改定して遠隔地での津波なども想定に加えたが、大雨に特化した記述はまだない。

今月8日に東海地方を大雨が襲った際も、名古屋市で多くの帰宅困難者が発生した。東京大の広井悠教授(都市防災)は「突発的な豪雨による帰宅困難者の発生は、都市部なら全国どこでも予想される。これまでは地震などへの備えが中心だったが、豪雨災害を見据えた具体的な対応指針も必要だ」と訴えている。

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