福岡高裁(岡田健裁判長)は27日、1985年に熊本県で発生した「松橋事件」を巡り、殺人罪の再審無罪が確定した男性の遺族が国と熊本県に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、国と県に連帯して約2380万円を支払うよう命じた。
県警の長時間任意取り調べも違法
岡田裁判長は1審・熊本地裁が違法と判断した検察の公判対応に加え、県警による逮捕前の計9日間約81時間にわたる任意取り調べについても違法と判断した。判決は、この取り調べが「犯人との予断に基づいて行われ、自白させることが目的だった」と認定。1審判決が一定程度あるとした嫌疑についても「裏付ける証拠はなかった」とし、「任意捜査の限度を超えるものだ」と述べた。
検察官の行動に「失望を禁じ得ない」
また、検察官について、公益の代表者であることを踏まえ、「有罪に合理的な疑いを生じさせる証拠がある場合、明らかにした上で、起訴を取り消すか、無罪の論告をすべきだ」との考えを示した。その上で、「自白」と矛盾する布片の存在などについて有罪に合理的な疑いを生じさせる証拠だと把握できたとし、「公判などで明らかにすることや、起訴の取り消し、無罪論告を怠った」と非難。さらに「布片等の存在を明らかにせず、握りつぶした形となっており、検察官の行動には失望を禁じ得ない」と付言した。
事件は、同県松橋町(現・宇城市)で男性(当時59歳)の刺殺体が見つかり、宮田浩喜さん(2020年に87歳で死去)が任意の取り調べで殺害を「自白」し、逮捕された。1審途中で否認に転じたが、懲役13年の判決が言い渡され、服役した。その後、再審で無罪が確定し、遺族が賠償を求めていた。



