首都圏でタクシー事業を展開する「飛鳥交通グループ」が所属運転手の歩合給を引き下げたのは違法だとして、運転手133人がグループ3社を訴えた訴訟の判決が29日、東京地裁(上村考由裁判長)であった。判決は「引き下げは無効」と認め、運転手側が求めた未払い賃金の全額にあたる計約5060万円を支払うよう3社に命じた。
運賃値上げに伴う歩合給切り下げ
2022年11月、国土交通省は東京23区と武蔵野市、三鷹市のタクシー運賃を引き上げた。これに伴い、3社は初乗り運賃などを値上げした。その際、3社は就業規則を変更し、運転手の歩合給の計算率を切り下げた。裁判では「値上げによって従来通りの仕事量でも賃金は増えるので、不利益変更ではない」と主張していた。
不利益変更と認定
だが判決は、変更前の計算率による賃金との差額が月10万円を超える人もいるとして、不利益変更だと認めた。3社は変更の必要性や相当性を具体的に証明しておらず、労使交渉に誠実に応じなかったとも指摘。歩合給の引き下げは労働契約法に反し、無効だと結論づけた。
業界への影響
原告弁護団によると、運賃改定をきっかけとした歩合給引き下げはタクシー業界で広く行われているという。今回の判決については「不当な賃下げに歯止めをかけるもので、全国的な影響は大きい」としている。飛鳥交通は「内容を精査し、適宜対応する」とコメントした。



