民事再生手続き中の不動産会社ユニゾホールディングス(東京)を巡っては、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)などが2019年、買収に名乗りを上げた。ユニゾは従業員による買収(EBO)で対抗し、買収防衛に成功した異例のケースとして注目を集めた。
東京地裁(柴田義人裁判長)は7月24日付で、EBOに関わった小崎哲資・元社長に29億円超の賠償を命じる判決を言い渡した。
買収防衛の経緯
判決によると、ユニゾの従業員らが設立した会社は、米投資ファンドから約2000億円の支援を受け、ユニゾの株式を買い取って子会社化することで買収を防衛した。
ユニゾはその後、ファンドへの返済原資として従業員会社に利息分を含む約2500億円を貸し付けた。これによって資金が不足し、新型コロナウイルスの影響などもあって業績が低迷。23年に東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
判決の理由
判決は、従業員会社には独自の事業がなく、ユニゾの貸付金を返済する能力はなかったと指摘。小崎氏の対応について、「貸し付けがユニゾの財務の健全性を毀損するおそれがあったのに、経営者として、その影響を精査し、検証しなかった」と判断した。
従業員会社への貸し付けを推進したことが倒産の重要な原因の一つになったとも言及。貸付金の一部約25億円と小崎氏が社長退任後に受け取った顧問料約4億円について賠償を命じた。
弁護側は控訴
小崎氏の代理人弁護士は「公正かつ適切に対応したにもかかわらず、多額の役員責任を負わせた不当な判決だ」とコメント。7月31日付で控訴したと明らかにした。
EBOは、Employee Buy-Outの略で、企業買収の防衛策の一つ。企業の従業員らが投資会社などから支援を得て、株主から株式を買い取り、経営を引き継ぐ手法。



