大阪桐蔭に学力最上位「プロシードコース」設置2年目、探究型学習で成長
大阪桐蔭「プロシードコース」設置2年目、探究型学習で成長

大阪桐蔭中学校高等学校(大阪府大東市)は昨年度、学力最上位コースとして「プロシードコース」を新設した。最難関大や海外大への進学を視野に入れた同コースは、基礎学力の徹底指導に加えて探究・体験型の学習を重視しており、正解のない時代でも自らの能力を最大限発揮できる人物の育成を目指すという。設置2年目を迎えた新コースの手応えや生徒の成長ぶりについて、平井了校長とコース担任の清久達裕教諭に聞いた。

基礎学力の徹底指導に探究・体験型学習をプラス

「プロシードコース」は、高校から入学する生徒を対象とした「エクシードコース」の成功事例を中学に応用したものだ。エクシードコースは、東大や京大、国公立大医学部医学科など最難関大学・学部への進学を目指すフラッグシップ的な役割を持つ。プロシードコースでは、斬新な取り組みや実験的な試みを多く、よりスピーディーに取り入れ、良い効果が得られたものを全体に広げていく役割を持たせている。また、東大、京大、難関国公立大医学部だけでなく海外大学への進学も視野に入れ、ネイティブの教育アドバイザーが担任として関わり、海外の入試事情や準備などについて専門的にサポートしている。

同コースでは、単なる早期学習指導ではなく、勉強以外の多くの体験や挑戦を積極的に取り入れる方針だ。最も重要視しているのは、社会の変化のスピードに対応するための新たな取り組みをどんどん導入していくこと。小回りが利き、生徒が知的好奇心を持って多様な経験を積み、それを検証する独自の教育実践を展開している。

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プロジェクトワークで「ロボット講座」を受講する生徒たち

中学では、他の「英数選抜コース」「英数コース」と共通のカリキュラムや教材で授業を進めるが、「プロシードコース」では探究・体験型学習の機会をより多く取り入れている。通常1年間のスパンで取り組む「プロジェクトワーク」にプラスする形で、中1から高2で実践している体験型学習には、「ロボット講座」や「英検準1級対策」などさまざまな講座がある。同コースでは、これを短期集中型で複数体験できるダイジェスト版にアレンジして実施している。特に人気が高いのは「医学研究」や「ロボット講座」で、3月にはクラス内で研究成果の発表を行った。

清久教諭によると、ある生徒は医学についてインターネットにあふれている情報から必要なものを抽出してスライドにまとめ、仲間と切磋琢磨しながら成果物を作り上げた。その結果、医学への関心がさらに高まったと話しているという。

平井校長は「キャリアの見通しが立ちづらく、正解のない時代に、生徒が社会に出た将来、自らの能力を最大限に生かして活躍できるよう、可能性や長所を伸ばしていきたい」と語る。そのためには生徒に寄り添い、教員や先輩たちがこれまでチャレンジしてきたことのノウハウを還元し、成長の手助けに努めたいとしている。好きなことを追求させて伸ばす面と、基礎基本を徹底させる面の双方を両立させ、生徒の主体的な成長を応援していく方針だ。

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自主性や協調性の成長に加えて英会話力にも個性

新コース1期生はこの1年余でどのように成長したのか。清久教諭は「中学入学当時は『おとなしいな』という印象でしたが、生徒らはこの1年で大きな成長を遂げています」と話す。勉強する時と遊ぶ時の切り替えが早く、きちんとメリハリをつけられるようになった。また、理解力が高いため予定していた授業時間より早く終わることが多く、余った時間でより深い内容を学ぶなど、自ら深掘りしようとする姿勢に驚かされることも少なくないという。勉強以外でも生徒間で協力して、誕生日パーティーをサプライズで企画するなど、自主性や協調性も育まれている。

生徒たち自身も、「テスト範囲の問題を友達と出し合い、教え合って克服するなど、友達と高め合う力が一番成長した」「学習意欲の高いクラスメートと教え合うことでコミュニケーション能力が培われた」などと、この1年余を振り返って自らの成長を実感しているようだ。

英語教育については、もともと本校の生徒の多くが外部の英語スピーチコンテストに出場し、高く評価されていたことから、学校全体でもコンテストを行うようになって15年になる。「プロシードコース」の生徒も他コースの生徒と同様に参加しているが、特徴的なのは取り組みの自由度が高いことだ。プロジェクトワークで取り組んだ医学研究を英語に翻訳してスピーチする生徒もいれば、チームで英語劇をやったり、英語の歌を歌ったりする生徒もいる。

3年間固定メンバーで多様な取り組みにチャレンジを

今後の展望について、平井校長は「コースの人気の高まりで、入試の難度・倍率が上昇するといった課題はありますが、中学3年間は1クラスに固定という現在の体制は変えず、高校に進学する時点で他コースの生徒と入れ替えを行う計画です」と説明する。3年間固定メンバーで多様な取り組みにチャレンジした経験を他コースの生徒に拡散し、学校を牽引してほしいとの思いがあるからだ。それによって醸成される学校の雰囲気・風土が、のちに本校の財産となると期待している。

清久教諭は「このクラスで培われた自主性をさらに2年目で育んでいきたいと考えています。生徒主導でクラス運営を行う『自治』を尊重したいですね」と語る。また、学校の外の世界に視野を広げるために、今夏は近隣の企業の協力を得て、職業体験的なことも企画しているという。学習面だけでなく、失敗から学ぶ経験を通して成長していってほしいと願っている。

受験を考えている児童や保護者へのメッセージとして、平井校長は「受験に向けて親子ともども頑張っておられる今、大変な時期かと思います。勉強が思うようにいかなくて悩まれたり、どのように声かけしたらよいのか迷われたりすることもあるでしょう。しかし、親子で努力するこの経験そのものが、将来の力につながる得難い経験ですし、子供たちの成長の糧になると思うのです。後から振り返るときっと、『宝物の時間』になりますので、頑張って乗り越えていただきたいと願っています」とエールを送った。