日工大駒場、進学実績目標を初突破 個性に寄り添う指導で躍進
日工大駒場、進学実績目標を初突破 個性に寄り添う指導で躍進

日本工業大学駒場中学校・高等学校(東京都目黒区)は、今春の大学入試で「早慶上理30人、GMARCH100人」という進学実績目標を初めて突破した。中には京都大学への初の合格者を始め、国公立大や難関私大に合格した卒業生も多い。背景には、学校設置の塾によるハイレベルな学習指導や、個々の生徒に合わせたきめ細かな進路指導があるという。

今春の実績、目標を大きく上回る

同校は今春の大学入試で、国公立に13人、早慶上理に33人、GMARCHに132人の合格者を送り出した。高校工業科の募集を終了して進学型・普通科専一校に生まれ変わった2021年度以来、掲げてきた「早慶上理30人、GMARCH100人」という目標を、初めて大きく超えた。また、同校から初となる京都大学を含め、国公立大合格者はここ数年、安定して10人前後に達し、早慶上理も過去最多となるなど、難関大への進出が際立っている。

この好実績について、入試広報部主任の堀口博行教諭は「本校では、人柄を育むことを大切にしています。進路指導をする上でも、教員や先輩の助言を素直に受け入れられる生徒が多いと感じます。教員の言いなりになるという意味ではなく、指導に対する吸収力がすごく高い。そこが合格実績の向上につながった要因の一つだと考えています」と語る。

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無料の進学塾「光風塾」と自習室の活用

難関大学への合格者が増えていることについては、同校の設置する無料の進学塾「光風塾」の存在が一つの理由だという。高校生が対象で、成績上位の生徒30人のみが入塾することができる。22年度からは中2・中3生向けの「光風塾ジュニア」もスタート。選抜を通過した各学年40人を対象にハイレベルな進学指導をしている。

もちろん同校は、こうした成績上位者だけでなく、広く学習プログラムを展開し、全体の学力向上を図っている。高校では夏、冬、春の長期休暇中に講習会が実施される。特に夏期には100以上の教科関連の講座が開かれるという。また、日常的な放課後学習支援として、自習室が午後7時(土曜は午後4時)まで開放されている。座席は集中しやすいように個人ブースとなっており、チュータールームに詰めている卒業生チューターに学習上の質問をしたり、サポートを受けたりすることができる。

「中学では、各自で黙って勉強する自学自習室のほかに、大学生に質問・相談できる質問自習室があります。自習室サポートは、高校には以前からありましたが、ここ数年で中学でも始めました。こういった環境を用意することで、中学生のうちから自習に取り組むきっかけをつくれると思っています」と堀口教諭は話す。

卒業生の体験談、チューター制度を活用

今春、卒業した竹下理輝さんは、青山学院大文学部史学科に進学した。中学に入学した直後は、将来進むべき大学についてイメージを持っていなかったが、教員から「志望校が決まっていない人はGMARCHを目指すといいよ」とアドバイスを受けたという。

高1の夏休みに、「大学のオープンキャンパスに参加する」という課題が出され、成蹊大を訪れた。そのキャンパスの雰囲気に引かれたが、「先生方から、『第1志望より1個上のランクを目指して勉強すれば、第1志望に受かるよ』と言われ、漠然とGMARCHレベルを目標に決めました」と言う。

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竹下さんは「世界史が大好き」で、歴史系の学部学科に進みたいと考えるようになっていた。GMARCHの中でも青山学院大を第1志望にしたのは、高2の初め頃、青山学院大出身の英語の先生に「青学は史学科が盛んだよ」と教えてもらったからだという。竹下さんは最終的に青山学院大、立教大、成蹊大、國學院大を一般入試で受験し、見事青山学院大の合格切符を手にすることができた。「僕の母も青学出身なので、すごく喜んでくれましたね」

受験勉強では塾に通わず、自習室を活用して力を付けていった。主に取り組んだ教材は、オンライン学習サービスの「スタディサプリ」だったという。

「自習室では、明治大学のチューターさんに毎月1回ほど、スタディサプリの学習範囲や進捗の管理、勉強の相談といったサポートをしてもらっていました。そのチューターさんの指導が僕にはすごく合っていたので、高1から卒業までずっとその方のサポートを受けていました」

竹下さんは「一般入試で青学に受かる実力が付くまで勉強した体験は今後も生きてくるだろう」と感じている。「いろいろな受験方式がある中で、僕には一般入試が合っていたと思います。受験勉強は苦しかったですが、やり切ったことが自分の中で自信になりました」

担任の指導と次期目標

高校の3年間、竹下さんのクラスの担任を務めた田中陽一郎教諭は、「総合型選抜や学校推薦型選抜が合うか、一般入試のほうがいいかは生徒ごとに大きく分かれます。そういった適性を見極めて、より向いているほうに促していきます。竹下さんはすごく真面目な印象で、頑張れるから一般向きだなと思っていました」と振り返る。

田中教諭は、「生徒一人一人の個性に合わせて、しっかり寄り添ってあげること」が担任の務めだという。「私の担当教科は理科なんですが、竹下さんやほかにも社会科が好きな生徒がクラスにいたので、そうした生徒たちと共通の話題を持てるように、日本史と世界史の勉強を始めました。おかげで旅行が面白いと感じ、視野も広がりました。そのきっかけをつくってくれた竹下さんに感謝しています」

竹下さんには田中教諭に言われた忘れられない言葉がある。「受験直前の1月に、大学入学共通テストの結果を報告しに登校する日があるんです。報告をして下校しようとしたとき、田中先生に呼び止められて『竹下はこれまで頑張ってきたから、きっと受かるよ』と激励していただきました。受験直前の時期に、その言葉がすごく心の支えになり、受験当日の会場でも、その言葉を思い出していました」

来年度以降の大学入試について堀口教諭は、「3年後の目標として、国公立20人、早慶上理50人、GMARCH150人を掲げています」と言う。「我々教員としては、生徒の選択肢を広げるために偏差値の高い進学先を薦めるケースはあります。しかし、本人の進路希望があれば、それを尊重するのが指導の基本です。本校には幅広い学力帯の生徒がいますが、一人一人の学力に応じた指導に本気で取り組んでいきます」