福井県立恐竜博物館の来館者の満足度は、アンケートで「満足」と回答した割合が90%を下回ったことが一度もない。副館長の寺田和雄氏は、その人気の理由を「博物館の空間全体」にあると語る。
来館者の満足度が高い理由
令和6年度の年報によると、来館者のうち「10代以下」が4割強を占める。子供とその親という家族連れが多く、夏休みやゴールデンウイークはすごい混雑になるという。
SNSなどでも「悪いこと」を書き込む人はほとんどいないと寺田氏は驚くほどだ。リピーターも多く、インバウンド(海外からの来館者)も増えている。福井県に来る人自体は約6万人とそう多くはないが、その多くが恐竜博物館を訪れているとみられる。
空間全体で来館者を魅了
もちろん、51体の恐竜の全身骨格標本は人気があるが、寺田氏は「博物館の空間全体」が評価されていると話す。さらに、博物館に向かうアプローチも含めてのことだという。
多くの来館者が到着する福井駅には、たくさんの恐竜のロボットやモニュメントが展示されており、その多くが当館の研究員の監修によって作られた。駅から博物館へ向かう直行の恐竜バス(新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ!福井号)もその一つで、車内全体がスクリーンになっていて、恐竜や博物館に関する映像を流して来館者の興味をかき立てる。映像には寺田氏も登場している。
化石発掘体験をできる野外恐竜博物館へのバスにも工夫を凝らしている。有名なテーマパークのクルーから直接研修を受けたナビゲーターの案内とともに、「今から違う世界に行くぞ! 皆さんは研究員の一員です。これからみんなで一緒に研究しに行きましょう」と来館者のモチベーションを上げてもらうことを強調した。
発掘体験と研究者への道
実際の発掘体験では、化石らしきものを見つけた子供たちが「これ何?」と尋ねてくる。その場ではなんの化石とはっきり分からないことが多く、骨化石などは恐竜かもしれないしワニかもしれないが、そばに付いている研究員はできる限り真摯な説明をする。見つけた子供たちにとっては、すごい感動や喜びがあるという。
そこへ向かう途中に「観察広場」という野外で発掘しているところを見学する場所がある。実際の発掘体験だけでなく、そこを見るだけでもワクワクすると寺田氏は言う。
体験の子供たちから「研究者になりたいときどうしたらいいんですか?」という質問を受けることもある。こんな質問にも研究員が付いているから答えられる。そんな「空間」を博物館全体で作っているのだという。
年間約130万人の来場者
年間の来場者約130万人は全国の自然史系博物館ではトップクラスになった。寺田氏は「(東京・上野の)国立科学博物館(科博)がトップでしょうけど、科博を除けば、ウチが自然史系博物館のトップになるのでしょうね」と話す。
財政面が厳しい地方の博物館の生き残り法について、寺田氏は「後に詳しく話したいと思います」と述べる。お金の面だけ見ても、県が調査機関に依頼したところでは、博物館の入場料収入だけでなく、ミュージアムショップの売り上げやアクセスの交通機関、宿泊施設、ガソリンを入れる人、コンビニを使う人など、すべてを計算するとすごい金額になるという。



