神栖市長・木内敏之氏(65)の当選の有効性が東京高裁で争われた裁判で、3日、木内氏の当選無効という判断が下された。
法廷では、前市長・石田進氏(68)の支援者らが「やりましたね」と歓喜する場面もあった。開廷前から傍聴席は満席となり、注目度の高さがうかがえた。
「まんじゅうや」「だんごさん」の通称認めず
木内氏は、自身の呼称「まんじゅうや」「だんごさん」が有効票として認められるべきだと主張していたが、裁判長は「『まんじゅうや』『だんごさん』は原告の通称とは認められない」と述べた。
また、石田氏の有効票に複数の無効票があるとの主張も退けられた。「田」とだけ記載された票については「石と進を脱字したとはあまりに無理がある」と木内氏側は主張したが、高裁は「田と同一、類似する文字は含まれていない」として有効と判断した。
判読困難票や「×」記載の判断
「いもね」とも読める判読困難票については、木内氏側が「投票者の意思が不明確」と無効を訴えたが、高裁は「『い』は明確に読み取れ、2文字目は『し』にも読める。木内氏には『いし』の文字は含まれていないから有効」とした。
「×」が書かれたとも見える票は「薄く、左右対称になっておらず、『×』印とまでは言いがたい」と判断。4~5センチの直線が書かれた票は「人為的に記載したものというより、計数機などを通した際にできた痕跡である可能性が否定できない」とし、いずれも石田氏の有効票と結論づけた。
木内氏は不服、石田氏は歓迎
木内氏は「主張が全く通らなかったことは残念。和菓子屋の立候補者はほかにいなかったので、少しおかしい」と不服を表明。「厳しい財政に対応する政策を9月の市議会定例会に提案しようと準備している。市長の職務を、最後までやるのが、私に与えられた使命だ。安易に辞めれば、市政が混乱する。上告については、弁護士と相談する」と述べた。
一方、石田氏は「高裁の結果も県選管と同じになり、順当な結果だ。早く復帰して、1票でも上回った市長として、市政を進めてまいりたい」と述べた。さらに「上告するなら、市民の皆さんの我慢の限界のような気がする。当選を無効とされた人が、市政運営をやって、市議会に出席するというのは、市民は納得できない。判決が出たので、今日から動き出す」と語った。
市民からは様々な声
判決を受け、市民からは様々な声が上がった。自営業(74)は「私が住む地域では木内氏が『まんじゅうや』とは呼ばれていないので高裁の判断に納得した」と述べた。一方、会社役員(68)は「自分が住む地域では木内氏を『まんじゅうや』と呼ぶ。市選管の判断も尊重してもらいたいというのが本音だ」と語った。
市政への不安の声も聞かれた。パート従業員(34)は「調査などで毎回税金が使われる状況はどうなのかと思うし、市政が不安だとも感じる」と話した。保育士(36)は「ここまで長期化するとは思ってなかった。自分は子どもが4人いて、木内氏の政策には子育て支援があったため、市長が交代すれば支援がちゃんと受けられるか心配だ」と不安がった。
ほかにも「一票の大切さを学んだ」「投票者側に問題がある」「今回を機に投票制度を変えるべきだ」などの声があった。



