奈良県は10月から、奈良公園(奈良市)に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」の生育環境を整えるため、ふるさと納税型クラウドファンディング(CF)を始めた。目標金額は3000万円で、受け付けは12月4日まで。県が奈良公園を対象としたCFを行うのは初めてという。
過去最多の1687頭、課題も増加
今年7月の奈良のシカの頭数は1687頭で、昨年から222頭増えて過去最多となった。一方で、近年は観光客や交通量の増加により、芝地が荒れ、車両との接触事故や、シカによるポリ袋などのゴミの誤食、市街地への出没などが課題となっている。
寄付金の使い道と返礼品
寄付金は、シカが落ち着いて休息できるよう、観光客らの立ち入りを制限したエリアの設置や、餌になる芝地や樹木の植生の整備費用などに充て、採食や繁殖などシカが自然な行動を続けられる環境を整える。
寄付は、CFサイト「レディーフォー」で受け付けている。3000円から寄付ができ、5万円では1月に若草山で行われる伝統行事「山焼き」の特別観覧、20万円では東大寺のガイドツアーなど、体験型の返礼品も設けている。
広く協力を呼びかけ
CFでの資金調達は、奈良公園の課題を広く発信することで、シカの生息環境を守る協力者を増やす狙いもあるという。県観光経済課の辻勝式課長は「シカと人、さらに自然や歴史文化のある環境を将来にもつないでいけるよう、全国の人に協力してもらいたい」と呼びかけている。