水俣で国際シンポジウム、世界的な水銀研究者が講演「典型的な症状でなくても被害に苦しむ人がいる」
水俣で国際シンポ、世界的な水銀研究者が講演

世界的な水銀研究者として知られるデンマークのフィリップ・グランジャン氏(76)を招き、水銀や化学物質が与える影響について考える国際シンポジウムが、熊本県水俣市のもやい館で行われた。グランジャン氏は、水俣病の公式確認から5月で70年となったことに触れ、「典型的な水俣病の症状ではなくても被害に苦しむ人がいる。公害は社会的責任があり、日本がいい事例になってほしい」と訴えた。

胎児性患者との出会いが研究の原点

シンポジウムは、水俣病をテーマに国内外で活動する水俣市の「水銀に関する水俣条約推進ネットワーク」(MICOネット)の主催で9月27日に開催された。

グランジャン氏は、ジャーナリストの兄を通じて胎児性患者の坂本しのぶさん(70)の重い症状を知って水銀の研究を始めた。坂本さんは中学3年だった1972年、「第1回国連人間環境会議」関連行事に参加しており、その場に兄がいたという。研究成果は国際的に評価され、各国が水銀使用を規制する「水俣条約」が2013年に熊本県で採択される契機にもなった。

「水銀のコントロールが出来ていない」と指摘

「水俣からの警告:次世代に及ぼす化学物質汚染の影響」と題した講演に先立ち、グランジャン氏は坂本さんと互いの贈呈本を交換。講演では「(条約締結後も)水銀のコントロールが出来ていない」と指摘し、水俣病の教訓を踏まえ、「(過去を)振り返るだけでなく、先を見て、世界を良くすることが重要」などと訴えた。